知る優しさ






夏休みも明け、学校が始まった。


「名前ちゃーん、青峰呼んできてくれへん?」

「あー、えーとはい」

「名前!私が行くからいいよ!」





さつきは別れたこと知ってる。
そっか、私の役目だったもんね...



「なんや、青峰と喧嘩でもしとんのか?」

「いえ、別に...」

「そうか、ならええけど」






言えないな。
まあ、言わなくてもいいよね。


「元気なさすぎ、苗字」

「若松先輩...」

「心配なんだよ、お前が」

「大丈夫ですよ!」

「んなふうに見えねぇ」

「すみません...」

「おら、ジュースでもおごってやらあ」

「いいですよ!」

「遠慮すんな、後輩っ」

「はいっ」



休憩に入ったのだろうか、若松先輩が
行こうぜ、と自販機まで連れていってくれる。
ドリンクあるのに...




「...これだろ?」

「え、なんで私の好きなの知ってるんですか...?」

「前、昼飯の時見かけて...持ってただろ?」

「いつもこれですっ、ありがとうございます!」





少しだけ笑ってみせた。
若松先輩って意外と優しいなあ...



「...お前、青峰となんかあったろ?」

「えと、まあ、はい」

「別れたのか?」

「そういうことですね」

「辛いか?」

「夏休みの中盤です、別れたの」


だからもう平気ですよ、と呟いた。
平気じゃないのは赤司くんのことなんだよね...



「なんかあったら、誰でもいいから頼れ。俺とか」

「ありがとうございます」

「あれ?名前?若松先輩?」

「あ、さつき!」

「おお、桃井。青峰は?」

「それが、帰ったみたいで...」

「そうか。じゃ、戻るか!」




真面目に部活出てよね、ばか大輝。
なんてね。





初めて知る優しさに感謝


(ねー、若松先輩と何話してたのー?)
(大輝のこととか)
(なんか、いい雰囲気だったよ?)
(そ、そんなことないよっ)





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