美しき日々。<1>

1



 春、あれだけの隆盛を誇ったソメイヨシノには緑が混じり始め、とって代わるように遅咲きの八重桜が咲き乱れるころ。心地良い春風に抱かれながら俺は校門を抜ける。


 さて、このよき日にこの俺、高梨修也が頭を抱える訳をどうか聞いてほしい。

 俺が苦しめられているもの。それは数日前から現在にいたるまでに続くある不審人物の存在そしてその行動である。

 ・・・・・・まあ、不審人物といっても一応人物の特定には既に成功しているのだが。ただその不審人物、吉野茜のあまりにも常軌を逸脱した行動に対して不審と呼ばざるを得ないのである。

 では、その行動とはどのようなものであるのか。
 一見それは世間でストーカーといわれるもののようだが、実際のところ、見せつけるタイプの痴漢に近い。


 などといっても伝わらないと思うのでいくつかの例を出してみようと思う。






back
contents



×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -