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リヴァイがケニー、と呼んだ男はこちらに散弾を撃ち込んでくる。
リヴァイがブレードをその男に投げるも、銃でそれを簡単に弾き飛ばす。その動きからも、ただ者ではないことがわかった。
「バキューン!」
撃ち込まれ散弾をリヴァイがマントで防ぐ。その時、リヴァイが口を開いた。
「ナマエ!お前は俺と別行動をしろ!」
「え...!?」
「いいから従え!あいつらの目的は俺だけじゃない!お前もだ!!」
「.....!?
.......ッ...わかった...ッ!!」
ダッ、とわたしもリヴァイも駆け出し立体機動へと移った。
****
少し振り向くと、リヴァイの遠ざかっていく姿とケニーと呼ばれた男と同じように立体機動装置に銃の付いた見たこともない武器を使っているやつらがリヴァイを攻撃している姿が見えた。
その姿を見た時、ズキリと感じたことのない頭痛が頭を襲った。
「.....ッ...」
...リヴァイだけじゃなく、わたしも狙われているとはどういうことだろう。ケニーという男とリヴァイはどうして面識が...。
「.....!まさか...!切り裂きケニー...!?」
その時ヒュン、とわたしの頬を弾が掠めた。
「.......!」
回り込まてる...!?いや、違う...。待ち伏せ...!?
「そう簡単には逃がしてくれないってことか.....ッ」
瞬時に周りを確認すると、銃を持った人間は5人、でも奥へ行けばまだ待っているやつらがいるだろう。そこと合流されてしまえば、もう近接攻撃しかないわたしが太刀打ちできるはずもない。
それならここで彼らを.....、身動きを封じるか、殺すしかない。
引き金を引く音と、バラバラと弾が飛んでくる音が鳴り出し、立体機動でそれを避けていく。
「く...っ」
こちらと目があった1人の男が、銃口をわたしに向け引き金を引こうとした。その瞬間、わたしはそいつの首元に狙いを定め、アンカーを刺し込む。
「な...ッ!?
に、逃がすな...!!」
刺した男をこちらに引き寄せ、投げつける。
「.......っ!」
投げつけられた反動で動けないでいる数名をブレードで切り裂いた。
「あ、...あいつ、...!」
人数は半分以下になった。でもこのままアルミン達のところへ合流すれば敵を持ち込むことになる。
ここで...片付けないと...!!
ブレードを構え直した時、チャキ、と音がした。もう、敵はほとんどいない。ここで方を付けよう、そう思った時だった。
左斜め後方から、散弾撃ち込まれる。
「.....ッ!?」
「よぉ、また会ったな...作戦変更だ。
アイツには...宝物は手元に置いておかなきゃならねぇってことを教えてなかったみてぇだ.....。
まぁともあれ、大人しく捕まってくれよ。ならず者一族の末裔よぉ」
****
「来た!霊柩馬車!」
その言葉で馬車を引いているアルミンは霊柩馬車に並走する形で走り出した。すると立体機動を使って移動している人間の姿を確認する。
「!?」
「何だありゃ!?
立体機動装置なのか!?銃を持ってるみてぇだが...まさか!?」
突如現れたそいつらは、リヴァイ兵長を狙い銃を撃ち込む。そいつをリヴァイ兵長はアンカーで刺し、ブレードで真っ二つにした。
「殺した.......」
リヴァイ兵長を見ると、左へ行くよう指示したのを確認し、私達は左へと移動する。
そしてリヴァイ兵長はアルミンのいる馬車へと乗り移った。
「霊柩馬車はもう追うな」
「はい!?」
「俺達の行動は筒抜けだ。一旦エレンとヒストリアを諦める。
奴らは2人をエサに残存する調査兵を全員この場で殺すのが目的だ。きっとこの先も敵が待ち伏せしている。
同じようにして他の3人は殺された」
その言葉に私はギリッと奥歯を噛む。
「アルミン、左側から最短で平地を目指せ。
サシャとコニーは馬を牽引しろ。
ジャン。荷台から応戦しろ。
ミカサは俺と立体機動で逃走の支援だ」
「.....。
エレンとヒストリアはどうするつもりですか?」
「他の手を探すしかねぇだろ。それも俺達がこの場を生き延びることができたらの話だ。
敵を殺せる時は殺せ。わかったか?」
「.....了解」
アルミンが右前方から敵が複数来たことを合図した。そして私達は敵が馬車へ到達するのを防ぐ。
しかし1人、馬車へ回り込んだ。そいつはアルミンへと銃口を向ける。その時私は急いでそいつの元へ行き、蹴り飛ばした。
そいつはジャンのいる荷台へと落下する。
「.......ッ。動くな!!
動くなっつってんだろ!!」
ジャンが銃を構たままそう言うが、その銃を簡単に弾き飛ばされる。
「ジャン!!」
女は立ち上がりジャンへと銃口を向け、私はブレードを構えた。その瞬間、銃声が響き渡った。
「街を抜けるまであと少しだ!!」
銃の引き金を引いたのはアルミンだったのだ。
その時、リヴァイ兵長が私に声をかける。
「おいミカサ、ナマエは合流してねぇのか!」
「.......!そういえば...ナマエさんを見ていません!」
「まさか...!ケニー...!」
私達が街を抜けた後も、ナマエさんが戻ってくることは無かった。