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「......ナマエ、なんで、あたし達を置いていったんだ?あたしたち、仲間だよな?」

「もちろん!何言ってるのエマ、置いてなんて行ってない」

「置いていったさ。俺たちを置いて、ナマエは1人で幸せになろうとしてる」

「......な、何言ってるの?3人で暮らそうって決めたじゃない!地上に出るって!わたしは、エマとクラウスがいないと嫌だよ...!!」

「そんなの嘘。だって現にあたし達は置いてかれたんだ。1人で幸せになるなんて、許さない」

「なに、言って......」

エマとクラウスがじりじりと距離を詰めてくる。2人はわたしを見詰めているはずなのにその表情は伺えない。逃げたいのに、体が動かない。

「や、やめて...っ!2人ともおかしいよ!?」

「おかしくないよ、おかしいのは俺たちじゃない。ナマエだ。裏切り者だ」

「裏切ってなんてない...っ!
お願い、やめて?!また3人でいられるんだから!......また?」

また、何故その言葉が口から出たのか理解できない。

「また、なんてないよナマエ。ナマエにはあたし達を裏切った罪を償ってもらう」

あっという間に距離は縮まりエマはわたしの首に手をかけた。

「や、やだっ...!やめ、やめて!!!」

ビクッ、と体が跳ねた。ハァハァと肩で息をする。

......夢?

体を動かそうにも全身が鉛のように重たくて動かないので目だけで周りを見る。

「......ここ、...どこ...」

出したはずの声はカサカサでほとんど音声として出ていなかった。

重たい体を動かそうとすると鈍い痛みが走る。

「......いたっ...」

どうにかして体を起き上がらせると、扉が開く音がした。

「......ようやく目ェ覚ましたか、ガキ」

その声を聞いて少し身体がはねた。この声は、わたしに地上に来るかと聞いた人の声だ。

「.........」

「ここに来る前までは饒舌だったじゃねえか。言葉でもなくしたのか?

......まあいい。何も食ってないだろ。飯持ってきたから食え」

「......ここ、どこ」

「あぁ?俺の部屋に決まってるだろうが」

「俺の......部屋」

「......リヴァイだ」

「......リ、ヴァイ。え、っと、...その...」

「オイ、うだうだしてねぇでさっさと食え。今は自己紹介の時間じゃねえ」

そう言ってリヴァイはどかっと椅子に座った。食え、と言われたがこの雰囲気では食事が進まない。妙に張り詰めた空気の中、食べ物を口に運んだが味が感じられない。仕方の無いことだけれど。そしてあまり、食欲が湧かなかった。

「体は痛くねえのか」

唐突にそう質問されて思考が追いつかなかった。

そうだ。今もだが起き上がった時も身体中が鈍い痛みに襲われている。気付けば頭には包帯も巻かれていた。

「.....痛い、けど、体は動く...と思う」

そう言うとリヴァイは僅かに目を見開いた。

「お前は頭を強く打って、腕も足も所々折れている。動くわけねえだろ」

「.....ううん。たぶん、動く」

持ってきてもらったパンとスープを近くにあった小さなテーブルに置いて、まず包帯の巻かれている腕を動かし頭の包帯を解く。

そして、ソファに座って宙に浮いていた足を床へ下ろし、立ち上がる。

「.....ハ、おいてめぇ...」

リヴァイが何か言いかけたところで軽快に扉が開かれた。

「今日も手当てに来たよー!

.....目を覚ましたのかい!?い、いや、それよりもなんで立っているんだ!?

手も足も折れてるはずだけど!?」

メガネをかけた人がわたしを見て目を見開きそう言った。

「.....うるせえな。さっき目を覚ましたんだよ。
なんでこいつが涼しい顔をして立てているのか俺もわからねえ」


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