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「進め!!」
ハンジが示した地図の通りにわたしたちは森へと向かう。馬に揺られていると時おりズキリと頭痛が襲う。
リヴァイには無茶をしすぎるな、と言われた。でも、今は無茶をしなくちゃいけない時だ。今無茶しなければきっと取り返しのつかないことになる。
「.....大丈夫、まだ無茶できる...」
そう独り言を呟いていると森の奥が光った。
あれはたぶん、巨人化した時の光...!
「…間に合ったか。
総員散開!!エレンを見つけ出し奪還せよ!敵はすでに巨人化したと思われる!
戦闘は目的ではない!何より奪い去ることを優先せよ!」
わたしは立体機動に移り森の中へ入る。そう遠くない場所にエレンはきっといる。どこに...!
その時森の奥から叫び声が聞こえた。巨人の叫び声だ。その声のした方へと進むと巨人が木に捕まってこちらを見ていた。
あれは...ユミル!
「オイ!ユミル!どうしたんだお前だけ!?
...!?
エレンは...どこだ!?ライナーは...ベルトルトは!?」
コニーが話しかけてもユミルは反応を示さない。巨人化してライナーたちと戦っていた...?それにしては様子がおかしい...!
「何か変...だ...!」
「はい...!
なぜ...僕ら一人一人に目を向けるんだ?」
わたしの言葉にアルミンが頷きそう言った。おそらくアルミンもユミルの行動に違和感を感じている。
「ユミル!!」
すると奥からヒストリアの声がした。ユミルは声のした方を素早く見る。
もしかして...ユミルの目的は...!
「よかった...。
無事だったんだね!?
.......え?」
ヒストリアがユミルに近づいた瞬間、ユミルは口を開き彼女を食べた。
「やっぱり...!ユミルは味方じゃない...!」
急いでユミルの後を追いながらそう言葉にするとアルミンは頷いた。
「はい!明らかに敵対的です!!
ライナー達に協力する気なんだ!僕らはおびき寄せられていた!!」
どれだけ急いでもユミルからはどんどん距離ができていく。あまりにも...速すぎる!
追いかけるうち、森が途切れユミルとライナーたちが合流するのが見えた。ユミルはライナーに飛び移る。そこにはベルトルトに背負われたエレンも見えた。
「あ...!!エレンが連れて行かれる...!!」
ミカサがそう口にした。その時、ハンネスさんが止まるな!と指示をする。その言葉にわたしは頷き、みんなに向けて口を開いた。
「馬を使って追うよ!!」
****
「追いつけない速度じゃない!間に合うぞ!」
ジャンの言葉にアルミンがでも...と言う。
「鎧の巨人は関節部分の硬質な皮膚を剥がして走ればもっと速く走れるハズだ。そうしないのは...、長い距離を走れないのかもしれない...。けど、このままじゃもし追いついても止められない...!」
「いや.....何か手はある。
今度は.......躊躇うことなく、奴らを必ず殺す。私達の邪魔をするなら.....ユミルもその例外じゃない。
どんな手を使っても...、必ず.....!!」
****
追いついた...!
鎧の巨人に追いつき、ミカサたちは立体機動へと移る。必ずエレンを取り戻す...!
1人の兵士がエレンを背負うベルトルトの近くにアンカーを刺し、ブレードを構えた。しかしそれをユミルが引き抜き、手を離す。その反動で兵士は地面へと落下した。
その瞬間ミカサがユミルの目を切り裂く。ユミルは痛みによる悲鳴を上げた。
ミカサは鎧の巨人に飛び移りベルトルトへと攻撃を仕掛けるがその瞬間鎧の巨人が彼を守ってしまう。
ユミルがいることで攻撃がひとつに絞れない...!
ヒストリアはユミルの頭につかまってる。このまま攻撃すればヒストリアにも被害が...!
ミカサとアルミン、ジャン、コニーは鎧の巨人へと飛び移り懸命にベルトルトへと話しかけている。
...話しかけてもきっとムダだ。やることは結局、ただひとつ。
わたしは立体機動に移りみんなの元へ行く。
「みんな退いて。...わたしが、削ぐ。もう躊躇ったらエレンは戻らない...!」
「...そう。一瞬でも躊躇さればエレンは取り返せない。こいつらは人類の害。それで十分」
ミカサがそう言ったのを合図にわたしはブレードを引き抜く。その時だった。
「だッ.....
誰がッ!!人なんか殺したいと!!...思うんだ!!
誰が好きでこんなこと!!こんなことしたいと思うんだよ!!
人から恨まれて殺されても...当然のことをした...。取り返しのつかないことを...。でも...僕らは罪を受け入れきれなかった...!
兵士を演じてる間だけは...、少しだけ楽だった...!嘘じゃないんだコニー!!ジャン!!
確かに皆騙した...。けど!すべてが嘘じゃない!本当に仲間だと思ってたよ!!
僕らに...謝る資格なんてあるわけない...。けど...誰か.....。頼む.....誰が.....お願いだ.....。
誰か僕らを見つけてくれ.......!」
ベルトルトの言葉に抜いたブレードの手が止まる。
「ベルトルト、エレンを返して」
「.....駄目だ、できない」
ミカサがそう言うが鎧の巨人の手の中から聞こえたのはベルトルトの拒否の言葉。
「誰かがやらなくちゃいけないんだよ...。誰かが...自分の手を血で染めないと...」
「お前らそこから離れろ!!」
何もできずにいるわたしたちをハンネスさんが呼んだ。
「信じらんねぇ...。どういうつもりだ!?エルヴィン...!?
巨人を引き連れて来やがった!!」