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突然目の前に現れた、鎧の巨人。そしてわたしたちの前にはもう1体、超大型巨人。ソレは腕を振り上げた。

「.....まずいッ...!ハンジ.....!!」

「.....!
全員ッ、壁から飛べ!!!」

ハンジに声をかけると、我に返ったように大声で指示を出した。そしてわたしたちが壁から飛んだ瞬間、振り上げられた巨人の腕が壁の一部を破壊した。

「ユミルが捕まった...!」

ニファに抱えられたヒストリアが叫ぶ。その声に振り向いて超大型巨人の手元を見ると、ユミルの他にもう1人捕まっているのが確認できた。

「もう1人...捕まった...!」

そう声を上げた時だった。巨人は口を開き、2人を口の中へと放り投げたのだ。

「.........!?」

「総員戦闘用意!!超大型巨人を仕留めよ!!

人類の仇そのものだ、一斉に掛かれ!!」

わたしたちはハンジのその指示と共に一斉に飛び上がり、超大型巨人へ向けて刃を構えた。

超大型巨人はわたしたちに向けて攻撃をしてくる。けれど...

「.....やっぱり...!」

遅い...!報告書に書いてあった通り...!

拳を振るってくるが、簡単に身をひるがえして避けることができる。そしてアンカーをうなじに刺すことはそう難しくはなかった。

.....いける!

「今だ!!

全員で削り取れ!!」

ハンジの声が合図のように、わたしたちはうなじ目掛けてブレードを振り下ろしていく。

しかしその瞬間、わたしたちは巨人の出したものすごい熱風でうなじに向かうことすらできなくなる。

「.....ッあ...!」

...熱い...!

「総員一旦退け!!」

熱気から逃れるようにわたしたちは退いたが、超大型巨人は絶えず熱風を出し続けている。

「...どういうこと...!!」
「また消えるつもりか!?」

「いえ!様子が変です!!」

わたしとハンジの言葉にアルミンが反応した。

「以前なら一瞬で消えましたが、今は骨格を保ったまま...。ロウソクのように熱を発し続けています!このままあの蒸気で身を守られたら...。

立体機動の攻撃ができません!!

ど...どうすれば!」

「それなら.....待つしかない」

わたしの言葉にハンジは頷いた。そしてそれぞれの班に指示を出していく。

「いつまで体を燃やし続けていられるのか見物だが、いずれ"彼"は出てくる。待ち構えてそこを狙うんだ。

いいか?"彼ら"を捕らえることはもうできない。殺せ。躊躇うな。

アルミンと...ナマエちゃん...。1班は私に付いてこい!鎧の巨人の相手だ!!」

****

「...っ!エレン...!!」

鎧の巨人とエレンの元へたどり着いた時、わたしたちが目にしたのは鎧の巨人に殴られるエレンの姿だった。殴られて顔を損壊し、血を流しながらもエレンは立ち上がる。

殴り合いじゃ、鎧の巨人には勝てない...!

「エレン!だめだ!!殴り合ったってどうにもならない!!

ここまで来るんだエレン!戦ってはだめだ!!」

アルミンがエレンに向けてそう声をかけたが、エレンは大声を上げながら拳を振り上げた。

「まずい!!」
「エレン!?」
「我を忘れたか!?」

エレンと同時に鎧の巨人も拳をエレンに向けて振る。しかし、エレンはそれを避けたのだ。

「.....!?」

避けてから、鎧の巨人の首に腕を回し投げた。
あれの動きをわたしは見たことがある。だって、あれは...

「アニがやってた技だ...」

アルミンがわたしと同じことを思い、言葉にしていた。そうあれは、アニの動き。

そう思っている間にも、エレンは鎧の巨人に技をかけていく。そして大声を上げながら鎧の巨人の腕を引きちぎった。

アルミンはミカサとエレンの元へ向かい、おそらく壁へ近づくように言っている。鎧の巨人...ライナーの目的はエレンを攫うこと。それを阻止しなければ。
...でも、鎧の巨人から逃げるのは簡単ではないハズ。

エレンはわたしたちのいる壁の近くへと戻ってくる。ハンジはエレンの肩に移動し、彼に指示を出す。

「いいかいエレン!?
君を逃がすためにはライナーの動きを封じ、時間を稼ぐ必要がある!さっきの関節技で鎧の足を破壊することはできるか!?

我々の刃は通用しないが、頭を使って最大限できることを考えるよ!」

その言葉にエレンはコクリと頷いた。ハンジはその行動に感嘆の声を漏らす。ハンジの反応が示すもの、それは確実にエレンは意識は保てているということだ。

ハンジが退くと、エレンは構える体勢に入る。そして鎧の巨人はこちらへと近づいてくる。

けれど、途端に鎧の巨人の速度が上がり、エレンへと一直線に突っ込んだ。壁に衝突したエレンはあっという間に鎧の巨人の下になってしまう。

「下になってはダメだ、エレン!!」
「立って!!」

アルミンとミカサの声にエレンはどうにか下から抜け出し立ち上がる。でもまた同じ動きをされてしまったら避けられない。

「膝の裏.....」

「え.....?」

突然、かつて本で読んだ内容が頭を過ぎり気がつけば口をついて出ていた。その言葉にハンジとミカサが反応する。

「本で読んだことがあるの...。昔の戦争で使ってた鎧でも体を全て覆うことはできないって...」

「.......!そうか...!

本当に全身が石像のように硬いのならあんな風には動けない!
鎧ですら覆えない部分、それは脇や股...あとは膝の裏側だ...!」

その時、エレンがタックルを仕掛けてきた鎧の巨人を受け止め、動きを封じた。

「今...!」

わたしのその声と同時にミカサが鎧の巨人の膝裏を切断し、鎧の巨人は地面に膝をつく。

「いける!!」
「エレンやっちまえ!!」

「このまま首ごと引っこ抜いてやれ!!裏切り者を引きずり出せ!」

その言葉とともにエレンは鎧の巨人を両足で拘束し、力を込めていく。バキ、と鎧にヒビが入る音が聞こえてくる。

しかし、エレンが力を込めていく中、鎧の巨人が拘束されているにも関わらず、ほふく前進をするかのように進み出す。

「止まった...?」

この位置でどうして止まった...?何かある...?そう思って上を見上げた時だった。

『オォオオオオオオオオオ!!』

突然、鎧の巨人が咆哮する。

「周囲を警戒しろ!!巨人を呼んだぞ!!」

ハンジがそう言うも、周囲に巨人は見当たらない、と兵士は言う。

エレンはそんな中でも鎧の巨人の首を引き抜こうと力を入れ続け、あと少しで鎧の巨人の首が引きちぎれる。そんな時だった。

「上だぁ!!避けろぉおおおおお!!!!」


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