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ガキをソファに下ろす。さんざん雑音に囲まれていたのに目を覚まさないコイツが生きているのか不安になってくる。
「......オイ、死んでんじゃねぇだろうな」
胸元に視線を移すと胸が上下していることを確認できたので呼吸はしているようだ。
生きていると確認した直後、ノック音もなく扉が開かれる。
「リヴァイ!この子の手当てに来たよー!」
「オイ、クソメガネ。てめぇは誰かの部屋に入る時にノックしなきゃならねぇことを教わってこなかったのか......?」
「あはは!怖ァ痛たたた!
もう!せっかく着替え諸々手伝ってあげようと思っていたんだけど!」
「.........チッ」
「じゃあちょっと着替えさせるから、この子が気になるだろうけどリヴァイはちょっとの間退室だ!」
「......言われなくてもわかってる」
退室し、適当に時間を潰して頃合いを見て部屋に戻ると手当ては終わっていた。
「ちょうどよかった、彼女の手当てがちょうど終わったところだよ」
ガキに目を移すと頭や腕、足には包帯が巻かれていた。
「こいつの具合はどうなんだ」
「.....正直言うと、あまり良くない。生死に関わる程の傷を負った訳では無いけど、腕と足は折れてるところがあるし頭も強く打ったみたいだ。
リヴァイは、この子を連れてくる前に会話をしたんだろう?
本来なら頭を打っているし意識なんて保っていられないよ。相当痛みに強いか、精神力が強くない限りね。もしかしたらこの子はその両方を持っているのかもしれない」
本当に不思議だよ、とハンジは呟いた。
「こいつはどのくらいで目が覚める」
「わからない。頭を強く打ってしまったからね。目を覚ましても記憶障害が残ってもおかしくない。
.....あとはこの子の回復力にかけるしかないよ」
「.....そうか」
眠っているガキに再び目を向けるとその顔は青白く本当に回復するのか不安になる色だった。
ガキを見ているとハンジが薄く笑った。
「大丈夫だよ、リヴァイ。
なんてったってエルヴィンが指名した子だ。そんな簡単に死ぬような子じゃないさ。
言っただろう?生死に関わる程ではないって。
いつもの数倍眉間に皺がよっているよ。
それじゃ、明日も様子を見に来るから、私はもう行くよ」
「.....ああ。感謝する」
おやすみ〜、と呑気な声を出してハンジは部屋を去って行った。