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「相手が知性のある巨人だと知っていれば死なずに済んだ兵もいたんじゃ...」
俺達はリヴァイ兵長の指示の元、捕獲された女型の巨人から距離を置き身を潜めていた。
「俺達のような新兵ならともかく、長く調査兵団をやってる先輩達にも知らされてないなんて.....」
「うるせーな...」
「私達が団長や兵長に信用されてないって言いたいの!?」
ペトラさんが俺の言葉にムキになったようにそう言った。
「い...いや、でも...。そういうことになっちゃいますよ!?」
「くっ.....」
「ペトラ!そいつの歯を抜いてやれ!前歯と奥歯を差し替えてやれ!」
オルオさんが言い返せなくなったペトラさんにそう言う。
「しかしそれなりの人数が事前に関わってないとあの罠は成功しえないはずだ。計画を知らされた兵は恐らく.....
5年前から生き残ってる兵員に限るだろう。
いや...そう思いたい。だとすれば、ナマエさんもこのことを知っていたはずだ...。
壁外に出てからほとんど何も口を開いていないが...」
ナマエさんは俺達より少し距離の離れた場所で待機していた。俺達の会話が聞こえているのかいないのか、ナマエさんは別に何か言ってくる訳でもない。
「なるほどそういうことか。そうに違いないな。わかったか、エレン?そういうことだ」
「うん!そういうことなら仕方ない。
諜報員は5年前、壁を壊すと同時に壁内に発生したと想定されているから、団長は容疑者をそこで線引きしたんだよ」
「.....5年前、本当に諜報員が...」
「ソニーとビーンを殺したヤツも同一犯なのか?」
「あ...私...あの時団長にそれを質問されたんだ」
ハンジさんが旧調査団本部にやって来た次の朝、被検体であるソニーとビーンは誰かによって殺された。そこで俺は団長に敵は何だと思うか、そう聞かれたのを思い出す。
「俺もです。あの質問は...そうか」
「あの質問に答えられていたら本作戦に参加できていたのかもしれないな...。そんな者がいたとは思えんが」
これが成功すればすごいことになる。
でも...そのためだとしても、人が死にすぎた。
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しばらくその場で待機していると撤退を知らせる煙弾が撃ち上げられた。
「馬に戻るぞ!!撤退の準備だ!」
「だそうだ。中身のクソ野郎がどんな面してるのか拝みに行こうじゃねぇか」
「行くぞ!」
エルドさんの指示で俺達は立体機動に移り馬へと目指す。
「本当に...奴の正体が...?」
「エレンのおかげでね」
「え...?俺は特に何も.....」
「私達を信じてくれたでしょ?
あの時、私達を選んだから今の結果がある。正しい選択をすることって...結構難しいことだよ」
ペトラさんがそう言うとエルドさんが初陣でションベン漏らしてたのに立派になった、とオルオさんとペトラさんに向けて言っていた。
...2人の反応を見るにどうやら本当らしい。
「お前らピクニックに来てんのか!?
壁外なんだぞ、ここは!」
すると少し先で煙弾が撃ち上げられる。グンタさんは兵長からの連絡だと言って煙弾を撃ち上げた時、ずっと会話にも加わらずに真面目な顔をしていたナマエさんが焦ったように声を上げた。
「まって、グンタ!
.....よくわからないけれど...何か、何かおかしい...!」
「ナマエさん?何かって...ん!リヴァイ兵長。
いや違う.....誰だ?」
「グンタッ!!」
ナマエさんが叫び声のような声でグンタさんを呼ぶ。その瞬間、グンタさんの体勢がぐらりと傾き木にぶつかった。
「えっ!?ちょっと...!どうし.....」
「エレン、止まらないで進んで!オルオ!」
「はいッ!!」
グンタさんの首が裂けていた。刃物で切られたかのように。
「誰だ!?」
「エレンを守れ!!」
「...立体機動で襲ってくる!!」
「チクショウどうする!?どこに向かえばいい!?」
「馬のところへ行く時間はない...!
急いで...全速力で本部のところへ戻って味方と合流して!!」
ナマエさんが声を張り上げて指示を出す。
「女型の中身が!?それとも複数いるのか!?」
「クッソ.....よくも!!
かかって来い!!最低でも刺し違えてやるから!!」
ペトラさんがそいつに向けて声を張り上げる。
「女型が?
.....そんな!!どうして!?捕まったんじゃないのかよ!?」
そう言った瞬間だった。辺りは眩しいほどに光に包まれた。