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もう一度、先程掃除していた部屋をやり直し終わったため、他の部屋の掃除を手伝おうと歩いていると、ナマエさんとオルオさんが2人で掃除をしているところが目に付いた。

.....掃除というか...何してるんだ?

「あ、こんなところにいい布が」

「ちょ、ナマエさん!く、首!首締まってます...!」

ナマエさんがオルオさんのスカーフだけを引っ張り壁の汚れを拭こうとしている。どう見ても掃除というよりは.....イジメに近い。

「オルオー」
「な、何ですか...ナマエさん.....」

「天井拭きたいからおんぶしてくれないかな?」

「え.....いや、絶対首絞めて...。わ、わかりました!!やります!」

「ありがとうっ!」

「ちょ、まっ、ちょちょナマエさん!?やっぱり首締まってませんか!?

いや、そこ引っ張らないで下さい!!」

「だってこんなところに拭くのにちょうどいい布があるから」

訓練兵の時、3年間一緒にいたがこんなナマエさんを見たことがなかったので驚いた。

そのやり取りを呆然と見ていると突然リヴァイ兵長が2人の元へやって来てナマエさんとオルオさんをベリっと音がするのではないかと思えるくらい、力任せに引き剥がす。

そしてリヴァイ兵長はナマエさんを脇に抱えて歩き出した。

「ナマエ、お前は俺と掃除だ」

「わかったー!」

「た、助かった.....」

オルオさんは肩で息をしながらそう言っていたが、ナマエさんに関しては何も罪悪感などない、そんな笑顔でそう言っていた。

「おいエレン、何突っ立ってる。お前はペトラを手伝ってこい」

「あ...はい!」

****

「ペトラさん...あの...、ナマエさんとリヴァイ兵長って...どんな関係なんですか?」

「えっ!急だね。どうして?」

「いえ...、審議所での後もそうでしたけど、ナマエさんに対するリヴァイ兵長って何か違うと言うか...。
リヴァイ兵長に対するナマエさんもですけど...。
訓練兵団の時のナマエさんって結構自立している感じだったんです。でも今のナマエさんは...」

「リヴァイ兵長に甘えてる?」

ペトラさんのその言葉にハッとする。今のナマエさんの印象に当てはまる言葉だ、と思った。

「そ、そんな感じです...!俺達には一線引いていた感じがあったんですけど、リヴァイ兵長にはあんまりそんな感じがしなくて...。

さっきの掃除の時も、掃除してなかったナマエさんを叱ると思ってたんですけどそんなことなくて」

「そっか。エレンはああいうナマエさんを見るのは初めてなんだね。それだったら確かに驚くかもね」

「え?」

その口ぶりはまるでいつものナマエさんがああなんだと言っているようだった。

「本当のナマエさんは、あんな感じだよ。年齢は確かにエレンより上かもしれないけど、子供っぽいっていうか。

聞いた話だけど、ナマエさんもね、地下街出身でエルヴィン団長の指示で、リヴァイ兵長に連れてこられたんだって。それからずっとナマエさんはリヴァイ兵長と一緒にいたらしくて。だからナマエさんの訓練もすべてリヴァイ兵長が見たらしいよ。

だからかもしれないね。2人の距離が少し周りとは違く見えるのは。エレンはどう見えた?」

ナマエさんの強さの理由がわかったと共にそんな質問を投げかけられて戸惑う。どう見えるか、そう聞かれると答えるのが難しい。

「恋人...ではないけど、家族みたいな感じでもないというか...」

「まぁ、確実に特別な関係ではあるよ。2人を見ていればわかると思う。

実際、ナマエさんにはリヴァイ兵長も弱いというか、甘いからね。ナマエさんの言葉にはあまり強く言い返せないところがあるし...特に、調査兵団のトップはナマエさんに甘いからね」

ペトラさんは笑いながらそう言ったが、俺は目を丸くしたと同時に納得した。俺の傷を手当してくれていた時も、ナマエさんはリヴァイ兵長に意見していた。

「甘い...ですか?」

「うん。この班だって、本当はリヴァイ兵長はナマエさんを入れるのは反対したらしいの。でもナマエさんがどうしても、って言うから入れたらしくて。

ふふっ、可笑しいよね。あのリヴァイ兵長がナマエさんに負けて折れちゃうんだから。でもナマエさんの実力は本物だからね。動きくらいはみたことあるでしょ?」

「あ.....はい。訓練兵の時に何度か。
立体機動での動きが早くて、それでいて目標物をちゃんと深く抉るというか...。小柄だし細いのにすごい力だとは思いました」

実際、ナマエさんはクリスタより小さいと思う。1度、横に並んだ時に項垂れていたのを思い出す。

「そう。ナマエさんも兵長も、1人だけでも十分強いけどね、2人で戦っているところを見た時すごく驚いた。

お互いが信頼していないとできない動きだと思ったの。だから、あの2人の間には強い信頼感もあるんだと思う。

まぁここにいれば、知りたくなくても2人の関係性は見られるから観察してみるといいよ」

ペトラさんは楽しそうにそう言った。ちゃんと見ていれば2人の関係性がわかるものなのだろうか。


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