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「アルミン、何やって...」
「巨人の体なんかに負けるな!!とにかく早く!!この肉の塊から出てくるんだ!!」
アルミンがエレンに呼びかけている...!
アルミンが声をかけているところはちょうどおそらくエレンのいる場所なのだ。
「エレン!!お願い!!早く戻ってきて...お願い!!」
わたしも大声でエレンの名を呼ぶ。声が届いているか届いていないかなんて関係ない。
「もう1体くるぞ!!クソっ、倒しきれない!!」
「.....っ!
アルミン、エレンを...お願い.....っ!」
わたしが離れれば余計に被害が広がってしまう。今は巨人を倒していくしかない。
「...〜っ!
きりが...ない!」
このままだとガスも刃もなくなってしまう。兵士も気がつけば数名しか残っていなかった。また、多くの兵士を救えなかった。
「班長...ここまでです!もう私達しか残ってない!!」
「一旦岩まで退く!!」
その時、辺りにズシン、という音が響き渡った。わたしたちは驚いて動きを止めたけれど、巨人が5体扉から入ってきたことによりまた動き出す。
「一旦下がるぞ!!エレンの状況に応じて判断する!!」
一旦下がろうとしたその時、わたしたちの目にエレンが岩を持ち上げ運んでいる姿が目に入った。
「エレン.....!!」
アルミンがやって来て、エレンを扉まで援護すれば勝ちだ、と言った。エレンが...帰ってきたのだ。
「死守せよ!!我々の命と引き換えにしてでもエレンを扉まで守れ!!
お前達2人とナマエ副兵士長はエレンの元へ!」
「どうしてっ!」
わたしも、ミカサもアルミンもその発言に狼狽する。
「...これは命令だ!わかったか!?
ナマエ副兵士長も、お願いします!!」
「「.....了解!!」」
「わかりました...!」
わたしたちが移動しようとした時だった。
ミタビ班が地上に降りていた。彼らは自らの体を囮にして巨人をエレンから遠ざけている。
そして、他のみんなもそれに続いていく。
.....もう、あの方法しかない。
わたしたちはエレンの元へと近付く。
巨人の囮になっている、みんなの方へと目を向けると彼らは逃げ切れず巨人に捕まっていく。
「.....っ」
そしてわたしたちもエレンに近付く巨人たちを食い止める。
「エレンには...っ、近付かせない...!!」
アルミンの声が耳に届く。瞬間、轟音が響きエレンへと目をやると扉の穴は塞がっていた。
「皆.....死んだ甲斐があったな.....。
人類が今日.....初めて.....勝ったよ...」
リコが黄色い煙弾を打ち上げた。
わたしたちの作戦は成功したのだ。
「登った巨人が来る!!壁を登るぞ!」
「エレンを回収した後、離脱します!」
「すぐエレンを回収するから!」
わたしたちはそう言い残しエレンの元へ向かう。
「アルミン!エレンは!?」
「信じられないくらい高熱だ!急いで壁を登らないと...!」
アルミンはエレンを引っ張るがエレンの体が巨人の体から簡単に離れない。
「体の一部が一体化しかけてる!引っ張っても取れない!」
「切るしかない!」
残ってくれたリコが刃を構える。
「ま、待って!それは...!」
「うわっ!」
わたしがリコを止めた瞬間、ブチ、という音とともにエレンの体は巨人から離れアルミンはその反動で滑り落ちてしまった。
「アルミン!!
.....!ハッ!巨人が!!」
急いでわたしは刃を抜き立体機動へと移ろうとした。
.....でも、2人と巨人の距離が近すぎて間に合わない...!!
「エレン!!アルミン!!」
ミカサの2人の名前を叫んだその時、2体の巨人が突然倒された。風になびく自由の翼。
あれは...あの動きは...。
わたしが、間違えるはずもない。だって、ずっと会いたいと待ち望んでいたのだから。地を蹴り、その人へと真っ先に飛び込む。
「リヴァイ.....っ!!」
わたしが名前を呼ぶと顔を上げ少し目を見開いた。そして突然のことなのに、きちんと受け止めてくれるその腕。
あぁ、リヴァイだ。リヴァイだ...!
「ナマエ...?
おい、待て。ガキ共.....これは、どういう状況だ?」