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今日は訓練が休みで、久しぶりに実家に帰る者や、街に出かける者、その場に残る者と別れた。
かく言う俺やミカサ、アルミンはその場に残り、その他数名も同じように残っていた。
特にすることもないし昼時なので食堂へ雑談をしながら向かう。
「ちょっと、エレン!横向いてないで、前を向いて歩かないと人にぶつかる」
「いや大丈夫だろ...」
そう言った瞬間俺と誰かがぶつかる。
「わっ!」
「す、すみません!」
その人はふらつきその場にしりもちを着いてしまった。はらりと長い髪の毛が舞う。その光景がまるでスローモーションのように見えて、つい手を差し伸べるのが遅れてしまった。
しかし下を向いているその人の赤いリボンに見覚えがあって。
「ってナマエさん...!?」
「え...?あ、エレン!ミカサにアルミンも!
ご、ごめんね!ちょっとぼうっとしてて...」
「いえ、ぶつかったのは前を見てないエレンですから」
そう言ってミカサはナマエさんに手を差し伸べた。
ありがとう、とナマエさんは柔らかく微笑み立ち上がるとスカートについた汚れを払う仕草をした。
いつもは結われている髪を下ろしただけで随分と雰囲気が違うものだと思う。
「ナマエさん、どこか行く予定だったんですか?」
アルミンの質問にナマエさんはあっ、と思い出したように声を出した。
「うん、...本当は調査団本部に顔だけでも出そうと思ってたんだけど。
今日はやめようかな」
その発言に俺やアルミンは目を丸くする。
「なんでです?今日はナマエさんも休みでしたよね...?」
アルミンの言葉にこくりと頷くナマエさん。
「そうなんだけどね。
なんだか今日は向こう、忙しいみたいでリヴァイやエルヴィンやハンジには会えないみたいだから...。
それに、エレンたちはここに残っているしね!
他のみんなもいるんだよね?」
「そ、そうです...」
調査兵団トップを何も気にせず呼び捨てにしていたことには今は突っ込まず聞かれたことに頷く。
「そろそろお昼だし、みんなも集まってくる頃だからお話でもしよう!」
「ぼ、僕らがナマエさんに何か質問してもいいってことですか?」
「うーん、特に何も考えてないけどそれでも全然いいよ!とりあえず行こっか」
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「てなわけで今からナマエさんに何でも質問できるってわけか...」
コニーが、何も思いつかねえ!と頭を抱える。
「む、無理しなくていいよ!
訓練で困ってることとかあればそれ聞いてくれてもいいし...座学に関してはみんなの方がくわしいと思うけれど...」
「じゃ、じゃあ私、質問いいですか!」
「いいよ、クリスタ!なあに?」
クリスタが静かに手を上げた。
「ナマエさんと私ってほとんど背丈が変わらないのに、どうしてあんなに身軽に立体機動装置で移動できるのかずっと気になってて...」
確かにナマエさんの立体機動装置での動きは目を見張るものがある。まるで重力がないかのように自由に動く。それはおそらくここにいるやつらが気になっていることでもあったので、全員が静かに答えを待つ。
「あれは...クリスタも私も小さくて軽いから、遠心力があんまりかからずに動けるんだ。だから、それを利用して移動してる...としか言えないかも...。あ、あとは体感を鍛えたり!感覚的なものになってごめんね...」
「い、いえ!遠心力...」
おそらくナマエさんは元々素質に恵まれている人だ。感覚的に物事を出来てしまうとしたら、それはどことなくミカサに似ている気がする。
そんなことを思っているとサシャがパンを咥えながら手を上げた。
「コニーが前言ってたことが気になっていたんですが、ナマエさんと、リヴァイ兵士長の関係ってどうなんですか!?噂では物凄い犬猿の仲だとか...」
「ばっ、おいサシャ!お前何で言うんだよ!?」
「そう言うコニーも気になってたじゃないですか」
そんな質問に、ナマエさんは目をぱちくりさせていた。予想外の反応にサシャとコニーも思わず動きを止める。
「わたしとリヴァイ、仲悪いってウワサ流れてるの?」
コニー、と言いながらコニーの方を向くナマエさんに思わずビビるコニー。
「お、俺はそう聞きました...。
出会ったら最後、巨人討伐どころじゃなくなる、って...」
そんなコニーの話にぷっ、とナマエさんは吹き出した。
「ふふ、わたしとリヴァイは全然仲悪くないよ。
むしろ本部にいた時はずっと一緒にいたしね...。
ウワサって本当にどこからともなく流れるんだね、面白い」
クスクスと笑うナマエさんについ皆見惚れたように黙る。
「そ、そのずっと気になってたんですけど。
さっきぶつかった時も、リヴァイ兵士長や団長のこと呼び捨てにしてますけど...。
どういう関係なんですか」
つい気になって質問してしまう。俺の質問にナマエさんは先程と同じように目を瞬かせた。
「どういう関係...。
別に特別な関係ってわけじゃないけれど...ずっと一緒にいてわたしのことを大事にしてくれた、わたしにとっての大切な人、かな!
呼び捨てなのは会った時からそうだったからで、わたしが偉い人とかそういうわけではないよ!」
「い、いや僕らからしたらナマエさんも副兵士長なので十分偉いです...」
「ええっ?そうかな〜。
とりあえず、それなりに話し込んだし後はみんな自由に休みの日を有効活用してね!」
わたしは部屋の掃除をしてこようかな、と言ってナマエさんは立ち上がり質問大会はお開きとなった。