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「あははは!ナマエちゃん、すごい変な顔!」

「ぅぅうう...だって...」

「まぁ、市民からしたらそんなに可愛くて小さい女の子が壁外調査向かうなんて驚きでしかないからね!」

「おい、無駄口を叩くな」

リヴァイの静止と共に門を開く準備が始まった。

「開門始め!!」

頭に響くほどの大きな声とともにわたしも含めた調査兵団が一斉に旧市街地へと踏み出し、壁外へと目指す。

「進めぇ!!!!」

人類存続の希望への道が開かれた。

****

「ナマエ、お前は今回の壁外調査では右翼側に着いてもらう。俺の班とは別行動だ」

「えっ、リヴァイとは別なの...?」

「今回ナマエには主に巨人を発見した際の伝達を行ってもらいたい。
あくまでも君を守る形で進んで行く。そのため、君の能力はどうあれ抜刀は必要最低限で済ませてくれ。

まぁ、ナマエが抜刀する必要が無い、というのが1番良いのだが」

どんなに期待されていたとしても、壁外に出れば予測不能な事態が起こる。一応わたしは調査兵団に所属していることになっているが、それでも巨人を見たことがないのでは新兵と変わらない。

「.....わかった」

信煙弾の色などは一応すべて頭に入っている。索敵陣形のこともエルヴィンから直接教えてもらったので大丈夫だろう。

「移動はもちろん馬だ」

リヴァイに馬小屋に連れて来られ、1匹の馬と対峙する。馬の黒い大きな瞳に見つめられる。

そっと手を伸ばすと暴れられることもなく、とても大人しかった。

「ふふ、うん。...よろしくね」

****

「左前方、4m級接近!」

「あ、れが、巨人...!」

自分たちの背丈よりもずっと大きなソレに息を飲んだ。そんな巨人に援護班の人たちが迷いもなく攻撃を仕掛けに行っていた。

「怯むな、進め!」

わたしが今回入れられた班の班長が声を出す。

ここを抜ければ壁外だ。

巨人の討伐はわたしたちの班ではなく援護班が行っていく。わたしたちは目もくれず進むだけだ。そうして旧市街地を抜けると、建物が一気に少なくなり道が開けた。

「.....!」

これが、壁外。空は市街地にいた時よりずっと広く、平らな大地が広がっていた。

「長距離索敵陣形、展開!!!」

エルヴィンの声とともに隊列が形成され広がっていく。

あとは無事に帰ってこられればいい。きっと大丈夫。そう思いたいのになぜだか胸がざわざわとした。近くにリヴァイがいないから?いや、違う。なにか、よくないことが起きるかもしれない。

そう思っていると兵士の1人が声を上げた。

「右前方より10m級接近!」
「信煙弾!」
「はい!」
「俺達が行きます!」

赤色の信煙弾が打ち上げられ、班の兵士の2人が巨人へと目掛けて立体機動装置で飛んでいく。

「ナマエ!
君は前だけ見て進め!今回は、君を守ることが目的だ!」

「は、はい!」

そうだ。みんなわたしよりもずっと壁外調査を経験している人たちなんだ。わたしは前を向き進む。

緑の信煙弾が打ち上げられ、指示された方向へと移動をする。今のところは順調だ。大丈夫。無事帰れる。

「チッ、また巨人か!今回は運が悪いな!

いいか、お前達はナマエを全力で守れ!」

班長がそう声を出した時だった。

「は、班長.....!」

1人の兵士の叫びのような声で、そちらに目を向けた瞬間だった。

「.....は」

その兵士は巨人の手の中にいた。その巨人は先程まで出てきた巨人とは明らかに動きが違った。動きが、読めない。

「き、奇行種だ!」

誰かがそう叫び、黒い信煙弾が打ち上げられる。

「おい!隊列を崩すな!」

兵士の1人がいなくなってもなお、班長はそう声を上げた。

そうして兵士の人たちが次々と距離を詰めてくる奇行種へと向かっていく。

「まっ、...!

あ.....あ...!」

グシャ。
まさにそんな音だった。1人が食べれる。また1人。奇行種に向かっていく兵士が次々と食べられ、潰されていく。あっという間にわたしのいる右翼側は壊滅状態になった。

「ナマエ!君は絶対に抜刀するな!進め!」

「で、でも...!」

「いいから進むんだ!これは団長の命令なんだ!」

その言葉を合図に班長も立体機動へと移り、巨人へと向かっていく。

「ま、まって...!」

「クソッ、奇行種め!殺してやる!」

班長が体制を切りかかろうと整えた瞬間、班長の体は巨人の口の中へ消えた。

「あ......っあ、ぁあ、ああああ!」

わたしの班は壊滅した。


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