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そしてまたわたしは同じ夢の中にいた。

「ナマエ」

「エマ!クラウス!」

同じように2人はわたしを見つめて立っていた。けれど、今度はちゃんと2人の顔が見えて。

2人は何だか泣きそうな、嬉しそうな顔をしていた。わたしは2人の元へ駆け寄る。

「エマ、クラウス、ごめんね...。

わたし、2人のこと、信頼してるのに、どこか心の中で恨んでるんじゃないか、って...。あんなに、2人は信頼してくれていたのに...っ」

そう言うとエマはわたしのことをぎゅうと抱きしめる。

「やっと気付いてくれたのかナマエ!あたし達、結構苦労したんだぜ」

ニカッと笑うエマにまた涙が零れそうになる。

「俺達がナマエを恨むわけないだろう?

むしろ、ずっと心配していたんだ。ナマエがこのまま後悔と責任を感じて生きていくんじゃないかって。

でも良かった。ナマエにそれを気付かせてくれた、大切な人がいて。

もう、いいんだナマエ。自由に生きて」

「そうだぜ!忘れられんのはちょっと寂しいけどさ、でもナマエはナマエの人生を生きる権利があるんだ」

だから、自分の人生を生きて、2人はそう言った。堪えていた涙が1粒、零れた。

「うん...っ、うん.....!

わたし、自分の人生を生きる...!ありがとう...!
2人共、大好きだよ...!」

「あたし達の方がもっとナマエのこと大好きだぜ」

3人で強く抱きしめ合う。ようやく、ようやく触れられた。それが嬉しくて涙が止まらない。

「おいおい、ナマエ。いつからそんなに泣き虫になったんだ?
俺達の知ってるナマエはそんな泣き虫じゃないぞ」

「だって...嬉しくて...」

クラウスがわたしの頭を優しく撫でた。

「さて、もう泣くのはこれで終わりだ」

「もう、行かなきゃならないのか」

抱きしめあっていたはずのエマとクラウスがわたしから離れる。

「も、もう行っちゃうの...!?」

「ごめんな、ナマエ。きっと俺達とはもう会えない。

でも大丈夫だ」

「大丈夫!あたし達はナマエのこといつまでも見守ってるからな!」

「さ、涙を拭いて。今度はちゃんと笑顔でお別れしよう」

クラウスとエマは悲しそうに笑う。これは夢だ。本当はわかっているはずなのに、辛くて悲しい。

でも、2人は笑顔でのお別れを望んでる。ならば、わたしは笑顔で別れを言おう。

「うん...!大好き。わたし、絶対2人のことは忘れない。これまでも、これからも大切な家族だから。

.....ありがとう」

精一杯に笑う。わたし、ちゃんと笑えているかな。

「ナマエには大切な人を守れる強さと優しさがある。それを忘れないで生きてくれ」

「ナマエ!あんまり早くこっちに来んなよー!」

2人は笑顔でそう言いながら泡のように消えていく。

「今まで、ありがとう」

そう呟くと同時に2人は消えた。

それ以来、わたしは2人の夢を見ることはなくなった。

****

「ナマエちゃーん!!

ちょっとお手伝いして欲しいことがあるんだけど...。

おや?リヴァイ、ナマエちゃんは?
いつもはもうこの時間に起きてるはずだけど...」

「ノックをしろと何度言っても覚えねぇのはハンジ、お前が猿だからか...?」

「いやぁ、ごめんごめん!早くナマエちゃんに会いたいと思ってさ!」

「あまりでかい声を出すな。

.....ナマエなら、俺のベッドで寝ている」

いつもはソファで寝ているナマエちゃんの姿が見当たらないと思ったらどうやらリヴァイのベッドで寝ているらしい。

「ねぇねぇ、ナマエちゃんの寝顔見てもいい?」

「物音ひとつ立てれば命はないと思え」

書類から目を離すことなく淡々と言うリヴァイについ笑みがこぼれる。

そっと寝室を覗くと、そこにはすやすやと可愛らしく眠るナマエちゃんの姿があった。

いつも硬い表情をしているナマエちゃんだけど、とても柔らかい表情をしているように見えた。

.....おや?ナマエちゃんが抱きしめてるのってリヴァイの上着じゃ...?

リヴァイの上着を抱きしめ丸まって眠るナマエちゃんの姿はそれはそれはとても天使で。

「.....おい、済んだならさっさと出ていけ。

ナマエには起きたら俺が伝えておく」

「はは、可愛くて仕方がないって感じだ」

「あぁ?」

「おっと、なんでもない!とりあえずお邪魔したよ!

じゃ、ナマエちゃんによろしく!」

潔癖症のリヴァイが誰かを自分のベッドで寝かせることすら可笑しいのに、自分の上着まで貸すなんて。これからの2人につい笑顔になってしまった。


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