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「.....つまり、ナマエちゃんは他の人より傷の治りが早いってことだね?」

メガネの人に確認されて静かに頷く。

ソファに座っている私の横にメガネの人が座って、腕を組んで考えている。

「.....驚いた。

実はね、君は3日間ずっと眠り続けていたんだ。
ボロボロの状態でリヴァイに連れてこられてからね。その時、私が見た限りでは頭を強打、腕と足の骨は折れていて、治るのには2、3ヶ月掛かるだろうと踏んでいたんだ。

けれど、今はもう骨はほとんどくっ付いていて痛みはあるけれど動くことが可能なくらい回復している。これは通常の人間の回復速度ではないよ」

難しい話に、どこを見たらいいかわからず視線を彷徨わせる。するとリヴァイと目が合った。

リヴァイは眉間に皺を寄せて怖い顔をしていたから、慌てて目を逸らし床を見た。

「.....普通の擦り傷くらいなら、1日あれば治ってた。なんでか分からないけど、周りより傷の治りが早いんだって...気付いた。

普通の人は擦り傷でも1週間くらいかかるからって、エマとクラウスに.....っ」

2人の名前を口に出した途端、さっきの夢を思い出して手に力がこもる。

「まぁ、それがナマエちゃんの能力ってことだろうね!本当にすごいよ!

でもまだ骨だって完璧にくっ付いたわけじゃないから、安静にしているんだよ。

怪我が治るまではまだ様子を見る来るからね。
あぁ、そうだ!自己紹介がまだだった。

私はハンジ・ゾエ。よろしくね、ナマエちゃん!
じゃあ私はナマエちゃんが目を覚ましたことをエルヴィンに報告してくるから!」

ハンジは優しくわたしの頭を撫でて部屋からいなくなった。
そうしてまたリヴァイとわたしだけの空間に戻った。沈黙が続くけれど何を話したらいいのか、頭の整理もついていないので言葉にできない。

「俺が...怖いか」

急に話しかけられて驚いてリヴァイを見るとさっきと変わらないような顔をしていた。

.....怖い、か...。

「.....怖く、ないよ。だって...わたしを救ってくれたのはリヴァイだから...。きっとわたし、リヴァイに会ってなかったら死んでたかもしれなし、もっといっぱい人を殺してたかもしれないし...。...だから、ありがとう」

ずっと床を見ながら話していたことに気付いてリヴァイを見るとなんだか変な顔をしていた。

「.....ナマエ。お前はこれから調査兵団に入団することになる。人類を守るために命を賭けなければならない。それがお前がここに連れてこられた理由だ。恐らく、地獄を見ることになる。それでもいいのか」

「.....うん。地獄ならもうとっくに見てるから。それが、わたしの必要とされてる理由なら...私はそれでいいよ」

そう言うとリヴァイはまた変な顔をした。呆れているような、少し笑っているような。

「地下街で話した時にも思ったが、お前はガキらしくないことを言うな」

「ガキじゃ、ないから」

「そうか。俺にとってはまだガキだがな。
もう寝ろ。まだ傷が治ったわけではないと言われただろう」

リヴァイは立ち上がってこちらに来て、わたしの肩を優しく押してわたしを横にさせた。

「.....リヴァイ」

また椅子に戻ろうとするリヴァイの袖の裾を掴む。

「.....なんだ」

「.....わたし、明日から何すれば、いい?」

「明日は、恐らくエルヴィンのところへ行かなければならないだろうな。そこで指示がある」

「...エルヴィン?」

「...会えばわかる」

「.....そっか」

わたしがリヴァイの裾を離すとリヴァイはわたしの頭に触れた。ハンジとはまた違う触れ方だった。その触れ方が思いの外優しくて、心地よくて気が付くとわたしの意識は深いところへ沈んで行った。

沈んで行く意識の中、リヴァイがすまない、と言った気がした。


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