宝物 | ナノ


※大学生


まだかまだかと待つのもなかなか悪くはないなとおもった。光んちの小綺麗なキッチンには、料理本片手に不慣れな手つきで生クリームを泡立てる光。とそれをカウンターごしにそれを見守る私。普段と間逆なその光景は異様なものに思えるけれど不思議と幸せな気持ち。

「…あんま見んなや」
「なんでー?楽しいよ」
「うっさい黙ってモンハンやっとき」

そんなこと言っても、自分のためにすら台所に立つのをめんどくさがる光が私のために、しかも誕生日ケーキを焼いてくれるっていうんだもん、こんな興味のないゲームに興じるよりもどっちがいいかなんて考えなくても分かるでしょ?両肘をついて、手のひらには顎を乗せて、ゲームに戻る気なんてさらさらない。そんな私と目があって光は照れくさそうに顔を背けた。やっぱりこいつ照れてやがる。

「誕生日だもん。好きにさせてよ」
「…それ卑怯」
「今日しかつかえないんだもん。いいじゃない」

してやったり!あんま見んといて、と付け足して作業に戻っていく。うっすらピンクに染まる頬がかわいい。
光の誕生日にあげた黒いエプロンはおろしたてでぴかぴかだったのに、ほんのり白い粉がついていて、私の見込みどおり光によく映える。ちょっと早めの夏バテで、光が料理をするのを嫌がったのであげたそれだけど、「料理すんのにわざわざエプロンなんかせんでええ」という光のものぐさ精神によりいままで使われる事はなく台所の一角に掛けられていた。あげた私ですら存在を忘れていたものを引っ張り出して「おろすには今日がええやろ?」と笑う。まったく、乙女心がわかっているやらいないやら分からない奴だ。

「こんなもん見てても暇やろ」
「全然。光器用やからむしろ楽しい」
「ふーん。」
「あっ照れた?」
「照れとらん」
「マジ?」
「マジだよ」
「だよとか似合わん〜」
「…もうお前黙っとけ」

自分から話しかけてきたくせに。集中し始めたみたいだから言わないけど、照れ隠しじゃなかったらとんだ暴君発言だぞ。ぼうっと眺めている間にもどんどん工程は進められていき、とても初めて(しかも本を見ながら)作ったものとは思えない出来になりそうだ。私が初めて作ったときは普通の二倍の時間でとんでもないケーキといえるかすら微妙なものができたのに…くそくやしい。
オーブンに生地をいれてあとは焼き上がりと飾りつけのみになった。隣に座った光からはクリームや砂糖の甘い香り。

「おつかれさまです」
「あーほんまつかれたわ」

そんな意地悪なことを言うくせに顔はほころんでいるものだから説得力がまるでない。

「ひかる、ありがとう」
「まだ早いやろ」

こっちこそ誕生日おめでとう
目線を泳がせての祝いの言葉に思わず笑うと、ご機嫌を損ねられてしまったようだ。ああほんとにかわいい。好きよひかる と続けたらムッとしながらもキスをされた。



20110308 00:00
小早川たそお誕生日おめおめ!(#^o^#)


凍華に誕生日プレゼントでいただきました!!光ちゃん!!可愛い!!たまらんーー!!
素敵なプレゼント本当にありがとう!!



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