宝物 | ナノ
放課後の生徒会室に向かうわたし。
目的はひとつ。
「ネージっ」
「…なんだお前か」
期待外れかのような溜め息をつく彼は、わたしの好きな人。
「なんだとは何よ」
「別に。呆れているだけだ」
素っ気ない態度にはもう慣れた。
彼はわたしの顔も見ずにいそいそと片付けを始める。
「リーとテンテンはどうした?あいつら今日会議だったというのに俺に断りもなしに何をして…」
「何言ってんの?今日は二人の付き合って一年記念日じゃない」
「…ああ、そういえばそうだな。なら仕方な…くないだろう。おいお前、知ってて見過ごしたのか」
「だって恋人同士の幸せな時間を邪魔なんてできないもの」
わたしがニコッと笑うと、彼は呆れたように二度目の溜め息。
「幸せ逃げるよ」
「お前のせいだ」
「大丈夫だよ、わたしは逃げないから」
「……」
我ながら恥ずかしいことを言ったと思った。
案の定彼はポカンとしてわたしを見てる。今すぐ逃げ出したい気分。
「あーえっと、別に今のは…ね!」
「フッ…お前らしいな」
「…へ?」
「何があっても逃げるなよ」
「え…あ…うん!」
ぎこちないけど、しっかり繋がれたわたしの手とあなたの手。
どこにも行かないから、どこにも行かないでね。
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相互記念に「Three Tree」のやおからいただきました!!ネジがイケメンでどうしようもないですね・・・そしてリーテン可愛い(^▽^)
素敵なお話本当にありがとう!!