当然(サスケ) | ナノ
夕方学校から帰ったとたん「きて!サスケ!早く!」と切羽詰まった声で電話してきたもんだから急いで向かったのに、あのウスラトンカチが俺に差し出してきたのは80Wの蛍光灯だった。
「いや〜いきなり切れちゃってさ!今家族誰もいないし、これから夜だし」
「・・・」
「ほんとは私が上りたかったんだけどさ!脚立使ってもちょっと身長足りなくて」
「なんとかは高いとこが好きって言うしな」
「えっ何?何て言ったの?」
本気で聞き返してくるあたり救いようが無いと思った。いそいそと脚立を持ってくるバカにため息をつき、「押さえてろよ」と言ってから上った。
「おほっやっぱサスケ背え伸びたね〜」
「しばくぞ。つかちゃんと支えてろっつったろ」
「・・・えへへ。グラグラグラ〜」
「バッ・・・おま!」
心なしか揺れた身体に戦慄が走り、思わず丁度いい位置にあったアイツの頭を鷲掴みにした。
「なっ髪が乱れる!」
「うるせえ!元はと言えばお前・・・が・・・」
「ん?」と見上げてきたコイツの無防備な上目遣いに視界が縛られた。くそっ、何て顔してやがる。ていうか服、その服をどうにかしろよ。胸元丸見えなんだよ!
「サスケ?どうかしたの?」
「・・・どっか行け・・・」
「え?押さえなくていいの?分かった!」
「!ちがっ・・・」
呼び止めようとした時既にアイツはどこかへ走っていた。しまった相手はバカだった・・・。まあ後ははめるだけだったので一人でも出来たが、どこか心に虚しい風が吹いた。
「サースケっ」
「い゛っ!」
頬にひんやりとしたものが当てられ、ぎょっとして振り返った。棒つきアイスを二つ持ったアイツが満面の笑みで立っていた。
「はい、仕事料!お疲れさま」
「安い」
「文句言わないの。でも助かった。本当ありがとうね」
「・・・フン」
黙って二人アイスをかじる。言葉は無い。テレビの音だって無い。コイツはお喋りだが二人でいるときは結構こういう時間が多い気がした。それが自然だった。
改めて考えると不思議だ。他のヤツとの沈黙なんて特に何とも思わないのに、どうしてコイツとだとこんなに居心地がいいんだろう。
「サスケ」
「あ?」
「明日、学校ちゃんと来てね」
「何なんだいきなり」
「・・・サスケは誕生日に元気がないから」
笑わなくなるし、と言って力なく微笑まれる。そこで言葉を止めるあたりが憎たらしかった。一人で迎えるようになった誕生日を憂いでいると、見透かされてしまっているようで。当たり前のように理解されているようで。
あ、何となく分かってしまった。
「とにかく昼休みには学校きてね!絶対!」
「は?」
「みんなで昼休みにサスケのサプライズパーティーしよって話してるんだよね」
「今その気遣いをテメーが台無しにしたな」
それでも俺は、いつだってコイツの無言の優しさに救われている。
超遅れたけどサスケくんお誕生日おめでとう\(^o^)/っていう。