真似事(カカシ) | ナノ



ここはというと職員室の一角だ。


「君ね、何でこんな答えがあからさまに書いてあるようなテストで赤点とるのかな」

「だって分かんないんだもーん」

「つったってこれ既に追試だよ?あのナルトですら必死に勉強してギリギリセーフだったのに君考えた痕跡もないよね」

「分かんないもんは分かんないんだもーん」



「はあ、参ったね」と頭をかくカカシ先生を横目で睨み付ける。


「先生の教え方が分かりにくいんじゃないですか」

「三年生の冬にそれを言う?俺ずっと君の担任だったでしょ」

「じゃあ急に分かりにくくなったんじゃないですか」

「じゃないですかって・・・三年生になってから急に無気力になったのは君の方でしょーが。もうすぐ卒業だってのに。留年したいの?」

「そんなの関係ないです」


そのときカカシ先生は向かい側のテーブルに目をとめた。そこはイルカ先生のデスクだった。ナルトが追試の点数を自慢している。バカ丸出しだ。


「ね」

先生は私に向き直り、片目で微笑んだ。


「イライラしてる時は美味しいものを食べた方がいーよ。食事にでも行こっか」






「信っじらんない」

「・・・・・・」

「うら若き乙女を食事に誘った先がラーメン屋なんて信っじらんない。こんなんで機嫌なおると思うとか信っじらんない」

「でもホラ、味は確かだから」

「ナルトと一緒にすんなっつーの」

「・・・はは」


苦笑いしながらカカシ先生は私の頭を撫でた。反論の機会を失い、喉仏まで出ていた罵声を飲み込んだ。


「やっぱ特別に補習してやるよ。お前にはやっぱ卒業して欲しいもん。俺の大事な生徒だし」

「せんっ・・・」



「ハイ!ラーメンお待ちっ」

「お、きたきた。まあ食ってみなって。夜のラーメンなかなか粋だから」


頭の上の手が、スッと引っ込んだ。


「あれ、食べないの?」


先生はバカだ。何も分かってないじゃん大事な生徒とか言っときながらアンタは私のこと何一つ理解してないよ。いやもしかしたら知ってて素知らぬフリを?だったら殺す


「ね、美味しいでしょ」

「別に先生に言われなくても知ってたし。来たことあったし」

「あのね・・・そこは大人を立てようという気を利かせてくれないのかね」


何が気を利かすだよ。何が卒業して欲しいだよ。やっぱり何も分かってないよ先生なんか先生なんか先生なんか



卒業なんかしたくないんだよ



私はまだ先生といたいんだよ
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