不意討ち(サイ) | ナノ



「あのさ」

「・・・」

「一体何なわけ?」


さっきからサイは私を見ながら腕組みして首を捻っている。ただでさえムカつくポーズな上にこいつはずっと真顔だ。


「今まであまり気にしてなかったんですが」

「・・・?」

「先輩ってあまり整ったお顔じゃないですよね」

「・・・」

「ブスとまではいかないんだけど、何ていうのかな・・・スタイルもそれほどよろしくないし、性格もキツいし世間一般の目で見て可愛いという部類ではないというか」

「そうか君は切り刻まれたいのか」


口元をひくつかせながらそう言うと、サイはフッと笑って私のこさえた握り拳をそっと自分の手で覆った。華奢なわりに大きな掌だ。


「でもね先輩、これも最近気付いたんですけど」

「・・・」

「可愛いくないと好きじゃないって必ずしも同義じゃないんですよ」



こんなアホにときめいた私死ね
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