表紙 | ナノ


「こんなとこにいたのかよ。俺の特等席で呑気に寝やがって。いいご身分だなテメーは」

「・・・・・・?」

「もう昼休みだぞ」

「は、え・・・?」


頭上からの声に重い瞼を開けると、眉を寄せた不機嫌そうな男が私の顔を覗きこんでいた。クラス委員の奈良シカマルだった。


「あれ、シカマル・・・?」

「やっとお目覚めかよ。めんどくせーけど担任がお前呼んでこいってしつこいからよ。クソッやっぱクラス委員なんて断ればよかった」

「・・・サスケくんは?」

「はあ?サスケってあのうちはサスケか?どこにもいねーけど」

「何で・・・?」

「知るか。つかどうしてお前がサスケと一緒にいたんだよ」

「朝なりゆきで」

「朝からここにいたのか・・・」


目だけで辺りを見渡すと確かに屋上はガランとしていて、他に人は見当たらなかった。風がいやに冷たく感じる。そういや私微熱だったよ。


サスケくん先に出てっちゃったのか。起こしてくれたらよかったのに・・・どこまでも無愛想だなあと思っていると、不意にシカマルが私の隣に腰を降ろした。


「いやアンタ私を探しに来たんじゃないの」

「今は昼休みだろ。そもそもここは俺の特等席だっつの」

「サスケくんもお気に入りっぽかったよ」

「サスケのことなんざ知るかよ。俺は俺で好きにやってるだけだ」


そう言ってシカマルはごろんと横になり、自然な動作で足を組んだ。さわさわと吹き渡る風がシカマルの束ねた髪を揺らした。本当に気持ちよさそう。凝視していると「ジロジロ見んな」と一蹴された。シカマルって意外と照れ屋さんなのかな。


「つーかお前、先生が呼んでんだから早く職員室行けよ」

「そうだった!どうしようサボりバレてんのかなー」

「それもあるだろうけど、知らねえのか?今日一時間目にあった二年生全員対象の英語のテスト。受けてないヤツと40点以下で赤点のヤツは放課後に補習だぞ」

「え゛、何それ聞いてない!」

「うちのクラスだとナルトやキバとかだったか。屋上でサボってたお前らなんかは言うまでもなくその扱いだけどな」

「そしてお約束メンバー・・・」


半泣きになりながら立ち上がると、自分の頭の下に丸められた黒いものがあったのに気づいた。あれ?私何か枕にしたっけ・・・


広げて見るとそれは男子の学ランだった。内ポケットの名前記入欄には、端正な文字で「うちはサスケ」と書かれていた。



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