表紙 | ナノ
朝、なんとなく体がだるくて体温を測ると37度だった。ラッキー休める!と思って二度寝したのに母親に叩き起こされてしまった。「アンタ平熱36度5分でしょ!」一理ある。
そんなわけで只今遅刻スレスレな私は通学路を爆走しているのであった。
「くっそ・・・ただでさえだるいってのに!」
「あ、お前も遅刻かよダッセ〜!」
「ナルト!」
背後から現れたクラスメイトのうずまきナルトは「へへん、おっ先〜!」と言っておちゃらけた顔をしながら私を抜き去って行った。あんにゃろー自分が体力あるからって!いっそ私をおぶってけ!
「おい、こっち」
「ぎゃっ!」
もう校舎の周りの柵が見えてきたというとき、いきなり腕をひっ捕まれて小道に引きずりこまれた。
「ちょっ何!?」
「静かにしろって、遅刻しそうなんだろ」
「・・・キバ?」
同じくクラスメイトの犬塚キバだった。キバは柵を見上げてにやりと笑った。
「ここを越えたら遅刻は免れるだろ」
「でもこんな高いの越えられないよ・・・」
「頭使えよ、まず俺が助走をつけて走る。お前が踏み台になって俺の身体を上に上げる。俺は柵を越え、お前を引っ張り上げる。OK?」
「やだよあんたの足が私を踏むなんて屈辱。犬くさくなりそう」
「うっせーな!じゃあ遅刻だぞ!俺たち次遅刻したら校長室行きだぞ分かってんのか」
「うう・・・」
さすがにそれは避けたいので渋々キバの言うことに従った。キバが勢いよく走ってくる。とりあえずバレーのレシーブの姿勢を取った。怖い。思わず目をぎゅっと瞑るとキバは私の肩を蹴って柵を飛び越えた。反動で私は前によろけて膝をついた。なんて跳躍力・・・じゃない、許さない。
「ちょっとキバ!こんなに痛いなら言っ・・・て・・・」
振り向いてもキバはいなかった。あれ?と思い目を凝らすと彼は既に校舎に向かって走り出していた。
「は!?ちょ、キバ!?」
「悪いな!この世は弱肉強食!じゃあな!」
「ざけんなよコラ!」
アイツ、私を犠牲にして自分だけ・・・許すまじ許すまじ許すまじ。しょぼんと肩を下ろしていると、柵の上からスッと白い手が降りてきた。
「お前、声がでかいんだよ。気付かれるだろ」
「あ・・・」
柵の上に腰掛けていたのはこの学園のアイドル・うちはサスケだった。