凛とした声が響き渡って室内は水を打ったように静かになる。

真田警部補の横を颯爽と通りすぎて正面に立ち、ジャケットを肩に羽織った幸村警部はにっこり笑った。

「真田。今の衝撃で下の階の資料室・・・右から二番目の本棚の蔵書が三冊落ちたようだよ」
「ゆ、幸村・・・!!」
「自分の気持ちを抑えて力の加減をすることは大事なことだよ」
「・・・すまない・・・」


俺、丸井先輩、ジャッカル先輩は一様にマジックでも見せられたようにポカーンとしていた。今の今まで猛る闘牛状態だった真田警部補がどうだ。まるで蛇に睨まれた蛙だ。思わず額を冷や汗が伝う。


一見すると線が細いこの優男こそが俺たちの捜査本部のボス、幸村精市警部その人なのだ。

幸村警部は警察学校を首席で卒業。他を圧倒する洞察力・判断力・行動力・・・そして統率力。全てが既存の警察像を超越していて、ついた通り名はなんと「神の子」。実際どんな力を使ってその若さで警部の座にのしあがったのか俺には見当もつかない。


幸村警部は丸井先輩に向き直った。

「ブン太。ジャッカルを起こして報告書を仕上げて。前回の事件の顛末は真田が連続強盗犯をノックアウトしたことだっただろう?30分でいけるよね?」
「アッ、アイアイサー!」
「赤也」


来る。幸村警部が綺麗な顔を俺にスッと近付け、耳元で囁いた。


「減給と降格・・・どっちがいい?」


サーッと血の気が引いていく。青を通り越して白い顔になったであろう俺に幸村警部は「ふふ、冗談だよ」と軽やかに笑った。嘘だ絶対冗談なんかじゃない幸村警部のあの顔を見ろ人の心臓を弄ぶドドドドSの顔だ・・・!!


「さてと、赤也が言っていた仁王の所の事件だけどね。先程柳生から資料が送られてきているから今は鑑識とデータを照合している。もうしばらく待っていれば・・・」
「精市、その必要はない」
「わっ柳先輩!」

いつの間にか捜査本部内に白衣に身を包んだ鑑識の柳先輩がファイルを抱えて佇んでいた。いつどこから湧いたんだこの人。


そして今、立海警察署の若き精鋭たちの見解が繰り広げられる・・・のだろうか。


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