朝食も食べ終わりいざ調査に行こうとした時、いきなりエントランスの方が騒がしくなった。すかさず真田警部補が「むっ」と反応する。

「団体客が来ていたら面倒だな。赤也、見てこい」
「ええっ俺っスか」
「今朝寝坊したのはどこのどいつだ?」


だから寝坊じゃねーっての!心の中でぶつくさ言いながらも俺は素直に偵察に向かった。エントランスをひょっこり覗いてみると、スーツを着た男たちが同じくスーツの二人組をうやうやしく迎えているところだった。どうやらその二人組はたった今ホテルに来たところらしい。そういえば跡部サンがここは商談にも使うって言ってたっけ。さしずめスーツの男たちは跡部サンのとこの社員といったところか。少し興味がわいて会話が聞こえるくらいまで近寄ってみる。大きな観葉植物の陰からそっと頭だけ出した。


色素の薄い髪の、やたら美形な男が困ったように笑っていた。

「せやから毎度そない気を遣わんでもええですって。俺らは前も来たことあるし。なあ謙也」
「おん。跡部とも知り合いやしなあ」


関西弁?ケンヤと話しかけられたド金髪男もそこそこイケメンだけど、どっかでみたことあるような・・・


「いたいた。遅いよ赤也、真田が怒って・・・ん?あれは・・・・・・」
「あっ幸村警部」

幸村警部とその後ろから警察・探偵事務所のメンツがやって来た。丸井先輩が俺の髪をわしゃわしゃとかき回す。かなり鬱陶しい。

「お前な!そんなとこに隠れてたってそのワカメヘアで丸分かりだっつの」
「うっせえなアンタのド派手な頭よりマシだろ!」
「しっ二人とも。あの方々は・・・」


柳生先輩になだめられて二人組に目を戻す。さすがにこの大人数でいたら気付いたらしく、向こうもこっちをじっと見ていた。突然美形のヤツが「あっ!」と声をあげた。


「・・・もしかして幸村くんか?それに警察のみんなお揃いで・・・」
「やあ白石、元気そうで安心したよ」

幸村警部は笑顔で答えた。

え?警部たちの知り合い?俺がポカンとしていると、柳生先輩が「やれやれ」と言いながら眼鏡を上げた。

「君は何も知らないのですか?彼は関西の大手製薬会社『四天製薬』の次期社長、白石蔵ノ介くんですよ」
「じ、時期社長?」
「そうです。会社の持つ豊富な薬剤知識・研究機能で警察の捜査協力にも尽力してくれているんですよ。ちなみに私たちとは同級で面識がありますね」
「鑑識とも深い繋がりを持っている。最先端の検査薬をどこよりも早く提供してくれるからな。白石には本当に感謝している」

柳先輩も頷いた。白石サンはまたさっきの人の良さそうな笑いを浮かべた。

「イヤやなあ柳生くんも柳くんも、俺はそんな大したことしてへんよ。ごっつスゴいのはむしろウチの研究者たちや。あと協力してくれる医者やな。ここにおる謙也とか」

そう言って白石サンは隣の金髪男をツンツン突っついた。

「何やねん白石、うざいわ!」
「紹介するわ。ウチに全面的に協力してくれとる、医者の忍足謙也や。俺とは長い付き合いやで」
「忍足って・・・あの丸眼鏡の・・・」

ジャッカル先輩が首を傾げると、白石サンが「それや!」とウインクした。

「こっちにおる跡部くんの友達の忍足侑士くんも医者やろ?全然性格ちゃうけど、この謙也は侑士くんの従兄弟やねんで、」



「嘘じゃな」


突然、仁王先輩がぼそりと呟いた。

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