「お前ほんまテニス部ばっかやな。マネージャーやからって口を開けば試合がどうのこうのやし、休みもテニス部行ってばっかやし。ほんまは白石とかに惚れとるんちゃうの」




「・・・で、そう言われて勢いで振ってしまったと」
「はい・・・」
「先輩、アホっすよね」
「・・・仰せの通りで・・・」


部活の休憩時間、部室の端で今年最大級に落ちていた私に光が「そないなとこでキノコ生やしてどないしたんすか」と声を掛けたために今この様な事態になっている。

部室の机で向かい合う私と光。光は一応話を聞いてくれているのだが何故か・・・なじられているような心境になる。

「どうせカッとなってしもた犯行やろ」
「いかにもです・・・でも、許せなかったんだもん」

呆れた眼差しを向けた光にそれでも私は食い下がった。

もともと押しに断りきれずに付き合った時間も愛も薄い彼氏である。話題が無くてついつい部活のことばかり話していた自分も悪いのだろうが、テニス部マネージャーの自分が休日に部活に行くのは当然すぎることだ。

四天宝寺テニス部は全国常連レベルの強豪なのだ。休日もスケジュールが詰まっているのはしょうがないこと。

悔しかったらあんたのサッカー部も全国行ってみろ!と逆に思ったくらいである。よく考えればあっちが悪いのだ。


しかし光は「甘いな」とバッサリ切り捨てた。

「先輩みたいなガサツで全く色気の無い女を好きんなる珍種がこの先何人おると思てるん」
「う゛っ・・・」
「先輩は非常に勿体無いことをした。やけど復縁する気はないんすよね?」
「もちろん!」
「やったらこの次先輩を好きになった男は絶対手に入れなあかんなあ?」
「そうだね・・・うう」


的を得た説教に青ざめていると、光がずいっと顔を近くに寄せた。近い。顔と顔の間が10センチくらいしかない。

光の整った顔がすぐそこにある。五色のピアスが蛍光灯の灯りを受けて輝いている。

「ひ、ひか」


光は不敵にニヤリと笑った。

「ほな話もまとまったことやし、先輩これから俺とエエコトしません?」
「えっ」


気付けば私の唇は光の唇に拐われていた。







(だ、騙した!?)
(俺が物好きで良かったなあ。せ、ん、ぱ、い)
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