入手した立海の選手情報が、まったく別の選手の情報だったことに我が六里ヶ丘中テニス部は騒然となった。全国大会前の出来事。
立海の選手と青春学園の選手と草試合ではあるが試合をした結果、大したことなかったと牛田君が言っていたけど、まさかこんなことになるとは。

「どうするよーこれ」
「俺ら一応東海地区優勝だしよぉ、このままにしておけねーよなぁ」
「つかあの柳生とかゆう男ぜってー許さねえし糞が」

私たちは全国大会に出場する程のチームなのだ。そして私はそんな学校のマネージャーだ。なんとかしなくては。
つーかなんで気付かないかな牛田君たちも。いまとなっては仕方のないことだけど、やっぱり私だってこのままじゃ悔しい。埃の被った脳みそをフル活動して考えてみる。こっそり私だけ偵察に行っても、きっと頭のいい人たちだからまた同じことになるだろう。応援に行くフリしてデータを取る?ダメダメ、絶対バレちゃう。

「…あ」

閃いた。私って天才何じゃないの。
彼らの仲間になっちゃえばいいんだ。信頼されるような仲間に。

「つーわけよ牛田君」
「はあ〜?お前正気かよ?」
「ばっか正気だよ!このまま立海に勝ち逃げされるなんて悔しいし」
「だからってお前立海に転校って頭オカシーんじゃねえの?」

そういうこと。
立海に転校して、テニス部に入部しちゃえばいいんだ。
簡単じゃないことなんてわかってるよ。でも絶対勝ちたいっつーか立海泣かせたいだけなんだけど。私はどうがんばっても試合には出れないから。少しでも役に立ちたいしあわよくば全国大会優勝しちゃいたいし!

「どうやって転校すんの?」
「マネーの力で」
「つかこんな不自然な時期の転校生とかあやしくね?」
「うまくやるって!」

心配してくれるのは嬉しいけど、私だって伊達に2年半テニス部を支えてきたわけではない。自信はある。レギュラーになれなくとも情報はたっぷり持って帰ってきてやるんだから!

「じゃ、こまめに連絡するから心配すんなヨ」
「心配してねーし。バレんなよ」
「だーからうまくやるっつーの!」

そうと決まれば無理やり転校手続きをして、神奈川県に無理やりアパートを取ってもらって一人暮らし。不安なんか全然なくて、むしろわくわく感の方が強いのは、私が世間を何も知らないからだということに私は気付かぬまま神奈川県に旅立った。

いざ、立海大附属!

私、男の子
    になります!

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