深夜0時を回る少し前、机に置いた携帯がヴヴヴと着信を告げた。幸村先輩からだった。

「・・・何の用ですか」
『やあ、やってるかい?』
「当たり前じゃないですか!数学さんと大乱闘中ですよ!」
『偉い偉い。まさか君が高校への内部進学のテストで欠点取るなんて思わなかったよ』
「だからこの私が年を跨いで勉強しようとしてるんじゃないですか!」
『俺が一緒に教えてあげるって言ったのに』
「嫌ですよそんな屈辱的な・・・同情するなら金をくれってんですよ」
『生憎と同情はしてないから。自業自得でしょ』
「・・・・・・」

フフフと笑う幸村先輩の声の後ろはざわざわと騒がしく、私は先輩が外にいることを理解した。きっと同期の部員みんなで初詣だろう。赤也も行っているのかもしれない。

『あ、うるさかった?声聞こえる?』
「大丈夫です・・・そっちは楽しそうですねクソッ」
『まあね。今丸井が手にリンゴ飴と綿菓子とクレープと・・・』
「・・・本当になんのために電話したんですか?嫌がらせっすか?」
『違うよ。声が聴きたかったんだ』

キュン。口をパクパクさせているこの姿を、電話の向こうの彼に見られなくて本当に良かったと思う。先輩は時々、不意討ちみたいに突拍子も無いことを言うから。


「なっ・・・先輩、そういうことサラッと言ってたら、女の子に勘違いされてもしれませんよ!」
『え、どんな?』
「〜〜〜っ!!」

速くなる鼓動。声が上擦らないようにするために一つ咳払いした。

『言っとくけどね、こっちも心配してるんだよ?内部進学テストってかなり簡単なハズなのにって。赤也でさえ受かったんだから』
「余計なお世話ですよ。先輩に言われなくてもちゃんとやりますから」
『連れないな』
「・・・大丈夫です、やれます。心配かけてすみません」
『ん、同じ学校に来るの待ってるからね』
「っ・・・!!」


チュッ

受話器越しに聞こえたリップ音に腰が抜けた。ついでのような『あけましておめでとう』で切れた電話をまじまじと眺める。この人はまた、これだけ心臓ぐちゃぐちゃにしておいて。絶対テスト合格して告白してやるから首洗って待ってろ。





こんなでもあけましておめでとうございました。

20110101
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