青リンゴ

真っ赤なリンゴを拾ってから、早いもので1ヶ月が過ぎようとしていた。

普通のリンゴなら熟し過ぎて痛んでいるところだが、うちのリンゴは痛んでない。
それどころか、赤から緑へ変化した。今や青リンゴだ。

要は被っていたリンゴを脱いだわけだ。真っ赤なリンゴから出てきたのは、瞳と同じ翡翠色の髪。綺麗だと思ったことは黙っておく。

青リンゴについて分かったことは二つだけ。

一つはパイナップルの師匠がいたが捨てられた、ということ。

もう一つは、フランって名前であるとうことだ。

それ以外は全くもって不明。
そんな怪しい少年を家に置いてる私は馬鹿…もとい、かなりのお人好しだ。

「姫ー。おなか空きましたー。」

『はい、はい。エサね。何が食べたいの?』

「姫が作ったものならなんでもいいですー。」

『何でもって…』

そういうのが一番困るんだけど…

「姫がミーの為に作ってくれるという事実が大切で、嬉しいんですー。」

めったに表情を変えないフランが満面の笑みを浮かべている。

可愛い…。

フランの笑顔をみるとついつい頬が綻ぶ。

どうやら私はこの笑顔に弱いらしい。
というか、すっかりフランにハマってる自分がいるのだった。

「姫ー。間抜け面になってますよー。まったくー、少し笑ってあげたぐらいで…単純なやつ。」

『えっ…?』

「なんですかー?」

『いや…』

やっぱりフランは毒リンゴだな。



彼を家におく理由。それは惚れた弱みからかも…




[ 2/3 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -