青リンゴ
真っ赤なリンゴを拾ってから、早いもので1ヶ月が過ぎようとしていた。
普通のリンゴなら熟し過ぎて痛んでいるところだが、うちのリンゴは痛んでない。
それどころか、赤から緑へ変化した。今や青リンゴだ。
要は被っていたリンゴを脱いだわけだ。真っ赤なリンゴから出てきたのは、瞳と同じ翡翠色の髪。綺麗だと思ったことは黙っておく。
青リンゴについて分かったことは二つだけ。
一つはパイナップルの師匠がいたが捨てられた、ということ。
もう一つは、フランって名前であるとうことだ。
それ以外は全くもって不明。
そんな怪しい少年を家に置いてる私は馬鹿…もとい、かなりのお人好しだ。
「姫ー。おなか空きましたー。」
『はい、はい。エサね。何が食べたいの?』
「姫が作ったものならなんでもいいですー。」
『何でもって…』
そういうのが一番困るんだけど…
「姫がミーの為に作ってくれるという事実が大切で、嬉しいんですー。」
めったに表情を変えないフランが満面の笑みを浮かべている。
可愛い…。
フランの笑顔をみるとついつい頬が綻ぶ。
どうやら私はこの笑顔に弱いらしい。
というか、すっかりフランにハマってる自分がいるのだった。
「姫ー。間抜け面になってますよー。まったくー、少し笑ってあげたぐらいで…単純なやつ。」
『えっ…?』
「なんですかー?」
『いや…』
やっぱりフランは毒リンゴだな。
彼を家におく理由。それは惚れた弱みからかも…
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