祈る
青く晴れ渡る空に、うっすらと白く残る月を仰いで、去っていったアナタに呟く。
もう届かないと分かっていても、零れ落ちる言葉と涙は止まらない。
「姫、ミーはアナタを愛してましたよー。」
・・・・・
初めて会った時からアナタに惹かれましたー。
どうしても、アナタを手に入れたくてアイツから奪ったんです。
暴走した野蛮な夜もあったけど、ミーはアナタの事を愛してました。
本当に、心の底から愛していたんです。
だから、アナタをミーの手で幸せにしたかった。
でも、それは叶わない願いだったんですねー。
やっと手に入れた幸せは、いとも簡単にミーの手をすり抜けていく。
純白のドレスを翻して走り去っていくアナタ。
いつもなら出さない大きな声で名前を呼んだけど、振り返ってはくれなかった。
666のヘルリング。どうやらこれの不幸はまだ続いてるみたいで…
「行っちゃいましたねー。」
「追わなくていいのかよ、カエル。」
「もう、勝ち目なさそうなんで。」
「だったら泣くなっつぅの。」
666個の不幸の後に訪れる、それまでの不幸をくつがえす程のたった一つの幸福。
それがアナタじゃないと言うのなら…
「ミーの幸せはいつ訪れるんですかねー。」
今は見えなくなった姫の背中に幸せを祈ろう。
ミーの分まで幸せになってと…。
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