王子の誓い

ここんとこ姫の様子がおかしい。

食べることが何よりも好きで、食事の度に食い過ぎじゃね?と思うほど食ってたのに、近頃は殆ど食わねぇ。
まったく手をつけない時だってある。

顔を合わせれば『ベル、あのね…』と言うわりにその後の言葉が続かない。黙って待ってれば走って逃げてく。

ンだよ?王子がなんかしたわけ?

オカマに姫の様子がヘンじゃね?と聞けば「ちゃんと責任持ってフォローするのよ」って言われた。

ますます意味わかんねー。王子の責任って何なんだよ。


ヒュッ―――ドスッ

ヒュッ―――ドスッ

ヒュッ―――ドスッ

「せんぱーい、ミーを的にしないでくださーい。その趣味の悪いナイフが刺さる度、ミーに恥が増えますー。」

カッカッカッ

「ゲロッ。」

あームカツ。カエルはうぜぇし、姫はヘンだし…。

王子にこんな思いさせるとかありえねーし。

考えんのメンドイ。直接聞こう。だってオレ、王子だし。

そう結論を出すと、すぐに姫の部屋に向かった。

コン、コンッ

姫の部屋のドアを叩く。ドアの向こうからはあいつの気配がする。柄にもなく、なんだか緊張してきた。

『はーい。今開けまーす。』

ガチャという音共にドアが開き、姫が顔を出した。

『あれ?ベル、どうしたの?』

「王子が来ちゃいけないのかよ。」

『そんなことないよ。どうぞ、入って。』

姫に促され部屋にはいる。あいつはいつも通りベッドに腰掛けたので、オレも同じ様に隣に腰を下ろした。

「姫さ、オレに話あんだろ?」

『えっ…。』

「言えよ。聞いてやるから。つぅか、言うまで部屋から出て行かねぇし逃がさねぇからな。」

姫は困ったように笑い、視線を足下へ落とした。

『…あのね…その…えっと…』

「ちゃんと聞くし、急かさねぇから落ち着いて話せよ。」

『う、うん。』

姫は2、3回大きく深呼吸をしてからオレの方に向き直し、真すぐ目を見て口を開いた。

『赤ちゃんができたの。』

「…まぢ…?」

自分でもビックリするくらい間の抜けた声が出た。姫は顔を真っ赤にして、必死にコクコクと頷いていた。

「オレの子?」

『ベル以外に誰がいるのよ!!』

嬉しい、嬉しい、嬉しい。

あまりの嬉しさに姫を強く抱き寄せ、ベッドへ倒れ込んだ。

抱きしめただけで気持ちは伝わったらしい。姫はオレの腕の中でポロポロと涙を流していた。

そんな姫の額に優しくキスを一つ落とし、耳元でそっと囁いた。

「王子の一生を使って幸せにしてやるよ。」

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