構ってにゃぁ


ベルの細いけど意外としっかりした背中をみていると、無性に甘えたくなる。


『ねぇ、ベル〜。』

「あぁん?」

『ヒマ〜。』

「そ。」


かれこれ一時間弱、ベルはずっとナイフ弄りをしている。

私はと言うと、その間ずっと談話室の大きなソファーに寝そべって大好きなベルの背中を眺めていた。


『ベ〜ルぅ〜。』

「……。」

『構ってほしいにゃぁ。』

「うっせ。」


なっ!
彼女が可愛くお願いしてるのに煩いだと!?


『むぅ。』

「膨れると更に不細工になるぜ。」


どうせ元から美人じゃないですよ。
イタリアの華やかな美人さんと比べないでよね。
ていうか、その不細工と付き合ってるのはどこの王子よ!

そんな思いを込めて、じとーっとベルに視線を送ったがまるで効果無しだった。


『もう、いい。』


ソファーから立ち上がり、談話室のドアに向かおうとするとベルに腕を掴まれた。


「何処行くんだよ。」

『…スクのとこ。』

「仕事でも手伝うわけ?」

『つまんないし、寂しいから構ってもらうの。』

「はぁ?」


ベルの口がポカンと開いたかと思ったら、すぐにへの字に結ばれた。


「行く必要なくね?」

『じゃぁ、フランのとこに行く。』

「なんで今度はクソガエルのとこなんだよ。」


あからさまに不機嫌な声を出すベル。
でも気にしない。だって構ってくれないベルが悪いんだから。


『フラン優しいし、ベルに愛想尽きたらいつでも来てくださいって言われてるもん。』


そう言うと、私の腕を掴むベルの手に力がこもった。


「ここに居ればいいだろ?」

『ベル構ってくれないじゃん。』


前髪越しにベルと視線が絡む。

それと同時に腕を引き寄せられ、バランスを崩した私はベルの腕の中になだれ込んだ。


「なぁ、そんなに構ってほしい?」


熱い吐息が耳に掛かり、私の心臓は早鐘を打ち始めた。

頬に手が添えられ、上を向くように促される。

手の動きに従ってベルの方を向くと、唇を滑る舌で舐め上げられた。


「オレ以外の男のとこに行こうとするなよ。」


濡れた唇をなぞるベルの指が色っぽい。
触れられる度に甘い感情が体の奥からじわじわと込み上げて来る気がした。


「姫は王子の姫だろ?」


最初から他の人のとこに行こうなんて思ってない。
ベルだってそれは分かってるはず。

私はyesの返事の代わりに、唇をなぞるベルの指にチュッと小さなリップ音を立ててキスをした。



大好きな人には構って欲しいし、いつまでも甘やかされたい。

女の子なら誰だってそうでしょう?なんて思う日だった。






(んじゃ、姫の部屋行くか。)

(え。なんで?)

(ベッドの上でたっぷり構ってやるよ。)

(構うの意味ちがーう!!)





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