猫を拾う
猫を拾う夢を見た。
その猫は金色のふわふわした毛並みで所々跳ねていて、目が隠れていた。
私はその子を抱き上げ優しくノドをさすった。
猫はゴロゴロとノドを鳴らすかわりに、口角を上に引き上げにんまりと三日月口をつくり「うししし」と笑った。
あぁ、やっぱりそうだ。
私の頬が自然と緩む。そして愛おしい気持ちを込めて彼の名前を呼ぶ。
すると、猫の姿が歪み私の前にはいつも通りの彼が姿を現す。
寝癖のようにハネたヘアスタイル。艶やかな金髪の上に輝る銀のクラウン。長い前髪で隠された目。チシャネコの様に笑う私の王子。
『Ti amo,姫』
あぁ、なんて甘美な夢。いつまでも、いつまでも続いていて欲しい。そう願わずにはいられない夢。
[ 2/40 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]