雨日の恋愛事情


雨の日が退屈なのは王子も例外じゃないらしい。



「退屈…。」

そう呟いた王子サマは、ダーツをするかのようにナイフをドアに向かって投げた。


『ベルー、ドアに向かって投げるのは止めようよ。もし、人が入ってきたら大変だよ。』

「王子の部屋に勝手に入るのが悪い。そんな奴は刺されて当然。」

『はいはい。さすがは王子サマですよ。』


相変わらずの唯我独尊っぷりに呆れてしまう。

横目で彼を見れば頬を膨らまして拗ねていた。


ちょっと、何なんですか?可愛い過ぎるんですけど。


「姫は退屈じゃねーの?」

『たまには、こういうのんびりした時間もいいと思うよ。』

「インドアー。」

『インドアでいいんですー。』


膨らんだままの頬をつつけば、かぷりと指を甘噛みされた。

そのまま私の指にベルの舌が這う。

ギリギリまで引き抜いては、奥まで口に含み直すを繰り返す。

ただ指を舐められてるだけなのに、ベルの仕草や表情が官能的で私の心臓は早鐘を打ち出した。


『ベ、ベル…。』


ちゅぽんと水音を立てて私の指から口を離すベル。

濡れた唇は艶々としていて妖し気な色香を放っていた。


「ししし、姫感じちゃった?」

『ち、違う。感じてないもん。』


必死に平静を装うとするが言葉がどもってしまう。

耳まで赤く染まった私の顔は、彼の問いを肯定しているようにしか見えなかった。


「姫…しよう?」

『へっ?な、何をするの?』

「分かってるくせに。」


ベルは腰に腕を巻き付け、胸に顔を埋めてくる。


「んー、姫いい匂〜い。」

『くすぐったいよ、ベル。』


匂いを嗅ぎながら胸にキスをしてくるベルの頭を撫でた。


あぁ、ダメだ。また絆される…。

私って本当に、とことんベルに甘い。


「なぁ、姫…えっちしよ?」


首を傾げ、見上げて可愛く誘惑されてしまっては抗う術がない。

小さく“うん”と頷けば、彼は口角を上げて嬉しそうに笑った。






雨で涼しい一日も、愛する王子サマと過ごせば、汗ばむ暑い一日にかわってしまう。

これが私達の恋愛事情。





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