パンケーキ


久しぶりのオフ。
連日の“殺シ”と言うなのお楽しみのせいで、休むことを忘れ酷使していた身体は疲れが貯まっていたらしい。目を覚ましたときには、時計は午後3時を指していた。


「うわー、こんな時間まで寝てるとか王子すごくね?」


まだ思考がぼやけた状態のオレは一人で使うには大きすぎる、ふかふかのベッドの上で胡座をかきながら呟いた。


ぐぅ〜


突如鳴る腹の虫。その音に昨日の夕食以来何も食べていないことに気がついた。

とりあえず着替えてから食堂に行こう。

起きたての重い身体を引きずり、クローゼットからテキトーに出した服に着替えて食堂に向かった。


その日の食堂は隊員どころか使用人さえいないという無人の状態であった。


「ありえねぇー。」


思わずこぼれた独り言が空っぽの食堂に響きわたる。

それとほぼ同時にまた鳴きだす腹の虫。

いつも世話を焼いてくれるオカマ、もといルッスーリアは生憎任務に出ていて飯作りを頼もうにも頼めない。

使用人を呼べば済むことだが、わざわざ呼ぶことさえ面倒になっていた。


「王子…もう…限界。」


空腹からの苛立ちを言葉に含みながら、キッチンへと足を運ぶ。

冷蔵庫からとって来た材料が作業台の上に並ぶ。
コンロの上にはフライパンが置いた。


「パンケーキぐらいなら作れんじゃね?」


本日4回目の独り言を呟きながら、ボールに卵を割り入れた。



・・・・・

「あっりぃ〜?」

フライ返しでパンケーキひっくり返すと真っ黒な側面が顔を出した。
最初の自信はどこへやら、口をへの字にしてその黒い物体を眺めた。


「オレ、王子だし。料理なんかしたことねーもん。」


持っていたフライ返しと、フライパンを半分炭と化したパンケーキごと流しに放り投げ作業台に寄りかかる。

しかし、これでは肝心なお腹を満たすという目的を達成されていない。
さて、どうしたものか。


このままにして於いてもしょうがないよなぁ。


頭の後ろで腕を組み、使用人を呼ぶためキッチンから出た。


『あれ?ベル、どうしたの?』

「うししし。」


good timingで登場した姫に思わず笑みがこぼれる。


「姫、王子にパンケーキ作れよ。命令な。」

『えっ、い…』

「拒否権なんてないかンな。」


ナイフをチラツかせて、しぶる姫をキッチンに立たせた。

それからほどなくして、王子のお腹は姫の作ったパンケーキで満たされた。


王子、ちょー満足♪



(キ、キッチンがぁぁ!!ベル、なにしてたの!?)
(…ししし。)





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