キミに溺れてる
談話室のドアを開けると、そこにはソファーに深く腰をかけ剣を手入れするスクアーロの姿があった。
窓から差し込む午後の温かい日差しに照らされ、キラキラ光る白銀の髪が彼の格好良さを更に引き立てる。
剣士で剣帝である彼にとって、剣は命と同じ。
丁寧に磨くその姿に、私は無機質な武器にさえ嫉妬を抱いてしまいそうになった。
「そんな処で立ってどうしたぁ゛?」
どうやら私はすっかり彼に魅入っていたらしい。
スクアーロの視線はいつの間にか剣から私に移っていた。
「こっちに来て座ればいいだろぉ。」
スクアーロは持っていた剣を箱に戻し、自分の隣をポンポンと手で叩いて私に座るように促した。
恋人なのだから隣に座ることぐらい普通なんだけど、スクアーロから発せられる色気に未だに慣れなくて傍にいるだけで顔は赤くなるし、鼓動は高鳴り弾けそうになる。
「顔赤くなってるぞぉ。」
『い、言わないでよ。だいたいスクが…』
「俺がなんだぁ?」
スクアーロは私の顔をのぞき込んできた。
ち、近い!!
流れ落ちる白銀の髪、切れ長の目、スッと通った鼻筋、薄く柔らかそうな唇。
彼の全てが色っぽくて、私の理性は飛びそうになった。
「姫は俺にベタ惚れだなぁ。」
ニヒルに笑う彼。
悔しいけど、その通りだ。私はスクアーロに溺れきっている。
『そうだよ。…私がこんな風になるのはスクのせいなんだから、ちゃんと責任とってよね。』
私はスクアーロの首に腕を回し、彼の額に自分の額をくっつけながら言った。
体中の熱が顔に集中する。壊れるんじゃないかと思うぐらい、バクバクと音を立てる心臓。
普段の私なら絶対こんなことしない。これは全部スクアーロの色気のせいだ。
私は伏せていた目を開き、彼から注がれる視線に自分の視線を絡ます。
そんな私にスクアーロは優しく唇を重ねてきた。
ムニムニと挟むように唇を解かれ、中へと滑る熱い彼の舌。
歯列をなぞられたかと思えば絡みつき吸いついてくる。
頭がぼうっとして何も考えられない。いつの間にか背中をソファーに沈み込ませ、スクアーロが私の上に覆い被さる体勢になっていた。
見えるのは大好きな人の顔だけ。
あぁ、なんて幸せなんだろう。
私はスクアーロの口づけに応え続けるという甘い時間を堪能した。
キス一つで私をここまでとろけさせられるのはアナタだけ。
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