俺だけでいい


天井から吊された縄で首を吊った女の後ろ姿が目に入る。

力なくだらんとした四肢からは生気は感じられない。

キィキィと縄が軋む音と供に、その女の頭がゆっくりこちらに向かって回りだす。


そんな映像が映し出されている画面を、ビクビクと肩を跳ねさせながら彼女は俺の隣で見ていた。


ついに女の頭は180度回転する。

俯いてた顔が上がり、圧迫されて少し飛び出ている赤い目でこちらを凝視し、口を開いた。



『いッやぁぁぁぁぁ!!』



その瞬間、屋敷中に響き渡る彼女の悲鳴。

俺の腕に必死でしがみつく彼女の胸から伝わる鼓動ははちきれんばかりに速く脈打っていた。


「う゛お゛ぉぉい…怖いなら見なければいいだろぉ。」

『だって…。』


涙目で見上げてくる彼女に危うく理性が飛びそうになる。


「…たっく。」


いつまでも潤い続ける彼女の目尻を舌で舐め上げ、涙を拭う。

そのまま耳朶を甘噛みすれば、彼女の口から甘い吐息が洩れた。


『ス、スク…。』


離れようとする彼女の腰を抱き寄せる。


「逃げるんじゃねぇ。」

『んッ…』


キスで口を塞ぎ、指で背中をなぞり上げる。

少し開いた唇の間から舌を滑り込ませ咥内を蹂躙すれば、彼女の口から顎へだらしなく唾液が伝った。


『…ふッ…んんッ…。』


息つく隙もないほどの激しい口づけを贈り続ける。

息ができない苦しさで顔を少し歪めた彼女が胸を叩いてきたので口を離した。


『ッ…ハァ…ハァ……シュ、ク…。』

「もう怖くねぇだろ。」


目をぱちくりさせる彼女の頬を優しく撫でれば、赤くなりながらもコクリと頷く。


「姫、お前は俺にだけドキドキしてればいいんだぁ。」


耳元で低く甘い声で囁けば、彼女は聞こえるぐらい胸の鼓動を大きくした。








お前の胸を乱すのは俺だけでいい。





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