初めてのお誘いです。



デートがしてみたい。

そう思った私はボスにお願いして、スクアーロと私のオフ日を重ねてもらった。

早速、デートのお誘いをしようと彼の部屋に向かう。

デートという響きが心を浮かれさせるのか、足取り軽やかにスキップを踏んでしまう。

その調子のままドアをリズム良くノックした。


「誰だぁ?」

『姫。』


ドア越しに聞こえる声にテンションが上がる。

開いたドアからは、首にタオルをかけた濡れ髪のスクアーロが顔を出した。


「こんな時間にどうしたぁ?」

『え、あ、その…。』


風呂上がりであろう彼の姿は上半身裸にジーンズという、なんとも刺激的な姿だった。

溢れ出るスクアーロの色気に頬が林檎のように赤くなる。

彼を直視できなくて目を泳がせた。


「なんだぁ?」

『あ、あの…お風呂上がりにお邪魔してごめん、ね。』

「あ゛?あぁ、別に姫ならかまわないぜぇ。中にはいるか?」

『…うん。』


促されるままに部屋に入れば、彼は椅子にかけてあったシャツを羽織りソファーに腰掛けた。


「話しがあるだろぉ?そんなとこで立ってないでこっちへ来い。」

伸ばされた大きな手をとれば、彼の膝の上に誘われる。

すぐ傍に水も滴るいい男なこの状況に、心臓がはちきれんばかりに早鐘を打ち出した。


「こんな時間に来るって事は少しは期待してもいいのかぁ?」

『ひゃっ!?』


耳元で囁きながら太ももを撫でてくるスクアーロ。

その艶めかしい手つきに身体は震え、声が上擦った。


『デ、デート…ッ!』


彼の色気に飲み込まれないようにして絞り出した言葉に、太ももを撫でていた手が止まる。


「あ゛?」

『だから、デートしよう!明日、一緒のオフなの…。』


目線だけを上に上げてスクアーロの様子を伺えば、ほんのりと頬を赤くして微笑む彼が見えた。


「いいぜぇ。どこに行きたいんだぁ?」

『あ、えっと、水族館!』

「そりゃ、また可愛いチョイスだなぁ。」


ククッと喉で笑いながら、彼は私の頭を優しく撫でる。

さっきとは違い安心感があるその手の動きが心地よくて、飼い主に可愛がられる猫のように目を細めた。


「そうと決まれば今日は一緒に寝るぞぉ。」

『へ?』


スクアーロの言葉に思考が止まる。


一緒に寝るってなに?

頭をフル回転させている私の身体が突然宙に浮く。

驚きのあまり咄嗟に彼の首に腕を回した。


「今から一緒のオフを楽しもうぜぇ。」


ニヒルに笑うスクアーロに抱き抱えられ寝室に向かう。

そのまま2人、一緒にベッドへ沈み込んだ。










初めてのデートのお誘いは成功したみたいです。





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