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2012/08/18 08:59



『変わったね。』


7年ぶりに会ったキミにそう言ったら、キミは私が知っていた頃よりも素敵な笑顔で“変わるって決めてたからね”と答えた。

あぁ、そうだった。

キミと最後に言葉を交わしたあの日“きっと変わるからどこかですれ違っても気づかないかもよ”ってキミは言ってたね。

でも、どんなにキミが変わっても私は気づけるって分かってたんだ。

だからね、ほら気づけたでしょう?


「お前も変わったな。」


キミは7年ぶりの私を見てそう言ったけど、私の根本はあの時から変わってないよ。

だからかな、なんだか今のキミに会ったら私はトリノコサレタ気分になったの。

あの頃の想い出に靄がかかっていく感じ。

やっぱり、想い出は思い出のままにしといた方が良かったみたいだ。

俯く私の隣で、空を仰ぐキミがいる。


「月が綺麗だね。」


月なんか見えてないのに、あの頃と同じ様にその言葉を言う。

あの頃の私とキミならきっと良かったんだ。

だけど、今は…。


『私には見えないな。』


キミは変わっていた。
私はそれを受け入れられない。


「そっか。残念だな。」


少し寂しそうな声が聞こえて、隣を見上げる。

愁いを帯びたキミの表情はあの頃と変わっていなかった。


変わったのはキミだけじゃなくて、私もだったのかもしれない。






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