「白の人」と出会ったのは、私が高校に入学して初めての夏を迎える頃だった。

いつも通り、あの不気味な扉の中の世界へ入り化け物を倒しながら終点を目指していた私は、久しぶりに手ごわい敵と出くわしていた。
トゥルース・アイによる攻撃が全く効かず、元来た道を戻りながら身を隠せる場所を探すも、移動速度の速い化け物は全身に生える触手を鞭のように振るい、私の背中を抉る。

声にならない悲鳴をあげながら床へ叩きつけられた私は、トゥルース・アイを棒状に展開し身を守るようにし身体を強張らせる。次に攻撃を受けたら、どうなる?ここで死んだらどうなるんだろう。それこそあの時私の目の前で死んだあの子の様に、誰にも気づかれずに―――?今、私誰の事を考えていたんだろう。身の周りで亡くなった人なんて、いないはず、


「うっ、」

瞬間、頭を引き裂く様な痛みが襲う。この痛みは日常的によくあるものだった。何かを思い出そうとすると、いつもこうなる。まるで何かを思い出す事を拒否する様に。こめかみを押さえながら顔を上げると、こちらに向かって化け物が触手を振り上げていた。ふらつきながら反射的に目を瞑った、その時だった。

青白く輝く何かが、高速で化け物にぶつかった。衝撃の後、光が散ったそこに立っていたのは、白い装束を纏った人物。化け物はとっくに粒子となって消え失せていた。

白装束の人は身の丈程もある大剣をしまうと、ちらりとこちらへ視線を向ける。ドキドキと心臓が音を立てた。



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