セピア色に霞んだ視界の中見えたのは幼い自分と幼なじみの姿。仲睦まじい様子がひどく懐かしく、私は右手を伸ばそうとした。だが掴めない。息をひとつ吐いて、冷静になる。これは夢だ。私が欲しくて欲しくて仕方のない、過去の私の夢。なんてことだ、夢に見るほど私は焦がれているというのか。


夢の中の幼なじみは、幼い私に三色の綺麗な糸で作ったミサンガを渡す。「これはね」言葉を続けながら袖を捲ると、彼女の細い手首にも同じ色で編まれたミサンガが見えた。

「これはね、願いがかなうミサンガなんだよ」
「願いがかなう?」
「うん。黄緑と黄色とオレンジであんでるでしょう?それぞれ、色に意味があって、黄色が明るい、オレンジが笑顔、黄緑が友情。愛ちゃんがずっと笑顔で元気で、わたしのお友達でいてくれますようにって」
「じゃあ、私もシオリがずっと笑顔で、元気で、友達でいてくれるようにお願いしないと」

ミサンガは切れた時に願いが叶うって言われているんだよ。切れる日が楽しみだなぁ。切れちゃったら、またお願いしようね。ずっと、ずっとお友達でいられますようにって――――――、











目が覚めた。遮光カーテンが光を受けて鈍く輝く朝日の射し込まない部屋。今度は伸ばせた右手には薄汚れたミサンガ。あの日から切れる気配はない。


20160720



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