モーツァルトの優しいメロディーに優しい小編成のオーケストラ
耳とココロに心地よい音楽と
なんともいえない車の揺れに
ウトウトしていると
「ルカ、寝たらオシオキするよ?」
悪魔な顔してハルちゃんがニヤリと微笑む。
「う、ううっ!!」
その笑みを見て私は思わず足をビッタリとくっつけさせる。
運の悪いことに下校後すぐに車に乗り込んだ私は、紺ブレザーにチェックのミニスカ。
“襲ってください”といわんばかりの自分の服装が恥ずかしくなって、小さく唸りながら途方にくれていると
「ホラ。これ足にかけときなさい。」
信号が赤になった瞬間、ハルちゃんは手を伸ばして後部座席から小さなブランケットを私に渡した。
――わ、優しい!!
なんだかんだ言いながらも、
ベッドの中では鬼畜でドSなハルちゃんでも
普段はやっぱり紳士なジェントルマンなんだなぁ♪
「ありがとう!ハルちゃん!!」
いつにない優しいハルちゃんの行動に、素直にお礼を伝えた、私。
「いえいえ、どういたしまして」
そう言った時のハルちゃんのしたり顔
今思えば…
そこでピンとこなかった私はなんてオバカさんなんだろうかと思う。
その証拠にそのお礼をココロの底から後悔するのは
その10分後のコトなのである――……
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