多分ボクらのレンアイは、ヒトとは違う

「疑似恋愛  」




「愛してるよ」
依存症の彼女が出来たのはほんの2、3ヶ月前だ。
俺がいなきゃ彼女は回りのものを破壊する。
彼女のお兄さんは彼女を「イジョウ」だという。
「愛してる、愛してる」
そう言って彼女の背中を優しくさする。
そうすると彼女は春のような優しい笑顔で微笑むそして
「もうどこにもいかないでね、りょうくん」
そう言って俺の心を破壊する。
リョウは俺の兄弟だ。
彼女は俺のことを、リョウだと思い込んでいる。
だから俺は彼女を縛りつづける。
「どこにもいかないよ、ミチル」
リョウが浮かべるような偽りの笑顔を浮かべて彼女を縛りつづける。
俺の愛の形は歪んでいるかもしれないけど、俺がリョウの代わりをすることでミチルに愛されるのなら。
俺がリョウの代わりをすることでミチルが癒されるのなら俺は本望だ
「ミチル、ミチル、愛してる」
全てリョウが悪い。
ミチルがこんなことになってしまったのもリョウのせいだ。
依存させるだけ依存させて。
それをぽいと捨てるだなんて、許せない
だから俺はリョウに復讐する







兄さんに彼女が出来たのは知っていた。
だけど、ミチルだとはしらなかった。
そういうと兄さんは異常に笑った
「ミチルはお前にはやらねーから」
いらない。そんなもの。
僕は兄さんさえいればそれでいい。
カノジョなんて僕には必要ない。
「キョウ兄さん」
最近、兄さんは僕と口を聞いてくれなくなった。
僕に口を開くときは罵る時だけ。
「死ね」だの「うざい」だの。
だけどさ、兄さん分かってないよな。
むしろ僕はその方が嬉しいんだ。
いつも僕の言葉しか聞かなかった兄さんがミチルの言葉に口を傾けるようになったんだから。
クラスで浮いてて、不登校の兄さんは一時期自分の殻に篭った。
そんな兄さんを見て僕はわかったんだ。
――ああ、兄さんは弱い。守りたいなあ。
思った日から僕は徹底的に兄さんに構って構って構いまくった。
兄さんの食事にちょっと細工して腹を壊した兄さんを僕が看病したら、兄さんは天使を見るような目で僕を見た。
思った日から僕は徹底的に兄さんが興味がありそうなモノをもってきた。
その中にはもちろんミチルも含まれる。
ミチルは兄さんのクラスのアイドル。
兄さんが僕にだけ口を開いてくれるようになった日から兄さんに色んなことを聞いていて、その中にミチルもいた。
だから僕は彼女を捨てた。
別に好きじゃないから。
甘えさせて甘えさせて甘えさせて甘えさせて。
そして捨てた。
だって兄さんのことを尋ねたら兄さんのことをキモチワルイと罵った。
そんなモノいらない
だから僕は兄さんのみを見て生きる。
「恋愛」じゃない。兄さんを、縛り付けたいだけ。
だから僕は兄さんに蔑まれながらも兄さんについていく






私は、リョウくんをあいしてたのに。
隣にいる人間をみる。
黒のストレートの髪。
リョウくんは金髪の天パ。
切れ長の瞳。
リョウ君は真ん丸人懐っこい目。
……全部違う……
リョウくんはお兄さんのことが私より大切だと。
むしろ美しいだけ、着飾るだけの女など嫌いだ。香水クサイ、化粧で粉っぽい。
純粋な兄とは大違いだ、と言った。
……違うよそりゃ人間なんだから
私は思ったけど、私は何より嫌だったことが起こったっておもった。
リョウ君がお兄さんのせいで私から離れて行ってしまう。イヤダイヤダ。
それだけは絶対にイヤ。
リョウくんはリョウくんはリョウくんは
私だけのものなの。
愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる
だからリョウ君の関心を奪ったキョウ君が許せなかったの。

キライキライキライ

だから私は両方を傷つけることを望んだの。
キョウくんをリョウくんと呼んで
リョウくんからキョウくんを遠ざけて。
虚しくなるだけって心のどこかではわかってたけど、だけど。
不毛だってこと、わかってたけど。
リョウくんの近くにいるためなら私はなんでもしたいから……。
だから私は二人を傷つけながらも隣にいることを選び続ける……。








人の心が交差して、人のシアワセがわからなくなる。



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一方通行様に提出!!


(11/03/15)