ある冬の日の後悔 | ナノ
親友からの誘い
途中まで読んでいた漫画の続きを読み進めていると、ピリリリリ……と着信音が耳に響いた。携帯の画面を見ると、橘千鶴と表示されていた。
『もしもしゆっきー!?』
「俺の携帯なんだから当たり前じゃん…」
『あれ、もしかして寝てた?』
「寝てませんー」
眠そうな声なのは元々です。ていうか君、高校時代にこの声ずっと聞いてたでしょ。
『ところで今日ひま?飲みに行こうよー!』
「また?この前行ったじゃん」
『今日は2人じゃないの!要っちに春ちゃんにゆうたん、あとなっちゃんも!』
「え、」
『じゃあこの前と同じ店に6時だから!』
「ちょっと、」
『じゃあねー!』
一方的に切られた…。千鶴は電話の時はいっつも一方的だ。俺の話なんか全然聞かない。…あ、それは直接話してても同じか。
…名前も来るんだ。またみんなで飲もうって俺から言ったくせに連絡とってなかったから、ちょうどいいって言えばちょうどいいのかな。
「あれ、もうすぐ5時半じゃん」
千鶴ってば連絡するの遅すぎ…。心の中で文句を言いながら、特に急ぐことなく身支度を始めた。
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