ある冬の日の後悔 | ナノ
卒業アルバム



目が覚めると、もう昼だった。せっかくの休みなのに半日も無駄にしてしまった。もったいないけど、最近仕事が忙しくてあまり寝れてなかったから体はすっきりした。

寝返りを打つと、本棚にしまってある高校の卒業アルバムが目にとまった。のそりとベッドから起き上がり、それを手に取って開く。適当に開くと、偶然自分のクラスの個人写真のページを開いていた。同じクラスだった名前の顔が一番に目に止まる。少し微笑んでいる名前の顔。この顔を何度卒業アルバムで見たことか。実際にこの笑顔を見たのは喧嘩する前だから、もうずいぶん前のことになる。喧嘩してからはまともに目を合わせたことがなかったし、話もしなかったから。

修学旅行のページを開くと、俺たち6人が笑顔でピースをして写っている写真があった。こっちの名前は満面の笑み。隣に並ぶ俺はいつもの顔だけど、内心は名前を意識していたんだろうな。付き合い始めたのは修学旅行の少し後だから、この時はまだ俺の片想い。

他にも文化祭や体育祭の写真が載っている。名前がクラスのみんなと応援している写真を見つけた。俺の競技が始まる前、頑張れって言って肩を軽く叩いてくれた名前の笑顔が蘇る。別に緊張とかはしてなかったけど、その一言でずいぶんやる気が出たっけ。そして競技のあとはお疲れさまって言ってタオルを渡してくれた。

受験勉強は嫌だったけど名前と一緒なら頑張れた。毎日遅くまで学校で勉強して、名前を家まで送るのが日常だった。あの頃は名前と2人で帰るために遅くまで学校に残っていたようなものだったっけ。

お昼は6人で毎日一緒に食べていた。千鶴がふざけて、要が怒って、春が慌てて、悠太はそれをただ見ていて、名前は笑っていて。俺はそんな名前を見ていた。

高2で初めて同じクラスになって、それから仲良くなって。毎日を一緒に過ごすうちにだんだん名前に惹かれていった。好きだと自覚するには時間がかかったけど、それを自覚したとき、名前を好きだという感情は、すとんと自然に俺の中に落ちてきた。


忘れよう、忘れようと何度も思った。高校を卒業して、大学に行って、名前に会わなくなれば忘れられるものだと思い込んでいた。

あぁ、やっぱり無理だ。

結婚すると知っても、抑え切れない。


俺は今でも、名前が好きだ。


[ 6/15 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -