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眩しすぎる笑顔の君




千鶴はすごく眩しい。


たまに怒ったり、スネたり、悲しんだりはするけど、最後には屈託のない笑顔になる。

誰とでも話せて、誰にでも別け隔てなく接していて、誰からも好かれている。そんな千鶴が私も好きだけど、ときどき眩しすぎて、見ていられなくなることがある。






「千鶴ってさ、いつも笑顔だよね」


ある夏の日の放課後、同じクラスで友達の千鶴と話が弾んで、誰もいなくなった教室に二人だけで残っていた。一旦沈黙になり、私があげたチョコを食べた千鶴の顔がほころんだところで、私は思わずそう口にしていた。


「どうしたの突然」

「いや、私も突然思ったんだけど」


千鶴から笑顔が消え、きょとんとして私の目をまっすぐ見つめてくるものだから、私は急にそう言ったことが恥ずかしくなってきて、喉なんて乾いていないのにパックのジュースを一口飲んだ。


「…いつも笑顔だし、誰とでも仲良くできてるからすごいなって思って。私にはその、…あんまり友達いないし、千鶴みたいに愛想よくとか、できないから」


ああもう私は、何を言ってるんだろう。

最後につい暗くなることを言ってしまうのは私の悪いクセだ。マイナス思考な発言をして、何度友達に嫌な思いをさせてしまったことか。今の千鶴だってそう。さすがの千鶴だって、こんなことをいきなり言われて、嫌じゃないはずがない。


「…笑顔でいれば、相手に嫌な思いはさせないかなって考えて笑ってる時だってあるよ、俺」


少し悲しそうに笑い、千鶴は私の目を見つめた。私が千鶴にそんな顔をさせてしまっているのだろうか。千鶴を見て、私はさっきの言葉を取り消したくてたまらなくなった。


「でも俺、なっちゃんといるときはいつもそんなことなんて考えずに笑ってるよ。自然と笑顔になってる。気を遣って笑ったことなんか、一度もない」

「千鶴…」

「それになっちゃんは、今のままでいいんだよ。仕事とかしだしたら愛想は良くしなきゃいけないかもしれないけど、学校でそんなこと無理にしなくていい」


千鶴は、なんてやさしい人なんだろう。
そして、なんてやさしい言葉をくれるのだろう。

胸が一気に熱くなって、泣きそうになった。だけど目の前の千鶴は私には眩しすぎるくらいの笑顔で笑っているから、私もつられて笑顔になった。


「無理なんかしなくて、心から笑ってるなっちゃんが俺はだいすきだよ」


そんなの、私だって、


「私だって、千鶴がだいすきだよ」









千鶴、Happy Birthday!
太陽のような眩しい笑顔の君がだいすきです!



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