その手をずっと | ナノ
浅羽くんの第一印象
今日で穂稀高校の2年生になった。2週間ぶりに制服を着て2週間ぶりに学校へ来た。2年生になったけど去年とはそんなに変わらないんだろうなと思う。あ、でも勉強は少し難しくなるのかな。嫌だな、赤点とっちゃったりしたら。
廊下に張り出された新しいクラスの名簿を見ると、私は2年4組になったみたい。教室に入ると、ちらほら見知った子がいる。
「名前、クラス一緒だね!」
「あ、香織」
この子は去年も同じクラスだった香織。香織は教室を見回して嬉しそうに笑った。
「しかも今年は浅羽祐希くんも同じクラスだし!」
「………え?だれ?」
「知らないの!?…ほら、窓際の1番後ろで、塚原くんと話してる…」
「あー…あの人…」
話したことはないけれど、去年塚原くんと同じクラスだったから彼と一緒にいるところを見たことがある。(てか塚原くんも今年も同じクラスだったんだ)
「やっぱりかっこいいわ〜」
「んー…」
「え、なに名前。あの祐希くんがかっこよくないとでも?」
「いや、そんなことないけど…」
いっつも眠そうだし、やる気なさそうだし、無口そう。そう言うと香織は吹き出して笑った。そんなことを言う女子は私くらいらしい。しかも前半はあんたも人のこと言えないよ、って肩を叩かれた。…そうかなあ。
塚原くんと眠そうに話す彼をもう一度見る。一瞬、目が合った気がした。
…まぁ、かっこいいというよりは綺麗で整った顔してると思う。これが彼の見た目の第一印象だ。
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