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あの日から2日が経った。
"騒がしくなると思う"とクレスが言っていた日。言われた通り、確かにやけに騒々しい。
だがいつものような騒々しさではなく、暗いような、悲しいような、上手く言葉に表せないものの、そんな感じで。


「今日は、なんの日なんだろう…」
「よし!見に行こう!」


何の日なのかまでは教えられていなかった真琴とリノ。リノは思いついたようにそう言うと、真琴の手を掴み一目散に駆け出した。

駆け出したとはいえ、外の空気の妙な張り詰めたような雰囲気を感じ取ったらしく、城内を歩く騎士団員の後ろを尾行する事しか出来なかった。



「なんか…、厳粛ムードって感じかな…」
「そう、だと思う…」


騒がしいのは確かだが、それよりも張り詰めた空気を痛い程に感じていた。"厳粛ムード"と言う言葉が一番合っているのだと二人は思う。


真琴がふと視線を向けた先に、どこかで見た事のある姿がある。白い花束を持った男の人だ。リノの肩を叩き、その人物を見る様に示唆すると、リノも同じ事を思ったようで、僅かに首を傾げた。



「あたし、あの人、どっかで見た…」
「うん」


2人の視線に気付いたらしく、その人物は手を振り、小さく笑った。
だがその人物が"誰なのか"が分かっていない為、曖昧に手を振り返す。彼を迎えに来たと思われる騎士団員の会話を耳に挟んだ。



「エルネット様、お待ちしておりました」
「ありがとう、待たせてすみません」



エルネット。
その言葉を聞いた瞬間、一瞬時が止まったような感覚に襲われる。
確かに綺麗な空色の髪は変わっていないし、髪型も変わっていない。だが服装は大きく変わっていた。前回会った時は女性用の服を身に纏っていたが、今の彼はどうみても男装。そして声色と口調が微妙だが変わっていた。


「あれが…、エルネット…?」
「やば、あたし凄いの見た気分…」


記憶にある姿と全く違うエルネットの姿に、真琴とリノは驚きを隠せない。
そんな会話をしているうちに、エルネットは騎士団員と共に移動してしまったようで、慌てて2人はその後を追った。




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