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異空間。
そう呼ぶには現実的過ぎる。
だが"ここ"ではない世界。
青っぽいような、白っぽいような。
冷たさを感じるような豪華な創りの建物。

その中心に聳える小さな噴水。
水面に映るのは"アリス"の候補者の姿。

それを眺めながら、黒フードの少年は笑う。



「ふふっ…あははっ…、無理だよ!無理に決まってるじゃない!!"誰も死なずに、殺し合わずに済むアリスの決め方"ァ?」



余りにも滑稽だったのだろう。
笑いながら水面を掻き乱し、映された姿がそれに合わせて歪む。


「僕はねぇ…今まで"何人も"の"アリス"の候補者を見て来たんだ、そしてみんな、君みたいな事を言うんだよ…真琴」


水面に映る真琴の姿を指でそっとなぞる。
一旦噴水から離れると、近くの花瓶に生けられていた薔薇の花を持ち出し、再び噴水の前に立つ。



「そんな君たちが、明るい未来を求めて…決められた運命から逃れようと必死に足掻く」


一枚、一枚と薔薇の花弁を剥いでは、水面に落とし浮かべていく。


「だけどねぇ…その運命から逃れられないんだと知って、絶望した時の顔が僕は1番好きなんだ…」



にっこりと、不気味なぐらいに嗤う。
握り潰した薔薇が全て掌から落ち、水面に浮かんだ。

血のような真っ赤な瞳が、白い髪と白い肌によく映える。



「ねぇ…"アリス"…?」







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