7



「真琴…」


諸々の収集が付き、真琴達は騎士団の城へと帰ってきた。
アレルとクレスは報告書を書かなければならないと告げ、間も無くして去って行った。現在、部屋にいるのは真琴とリノだけである。

元々そこまで喋らない真琴だが、リノも真琴と同じように口を開かない。沈黙が痛い程続いて居た。 だがその沈黙を打ち破るように、リノがぼそりと真琴を呼ぶ。


「…何?」
「えっと…、あの…」


リノは言葉をつまらせた。
言わなければと思ってはいても、上手く言葉が出て来ない。
それは真琴も同じ事で。

アレルに、クレスに。
それぞれが言われた事を思い出す。


"ちゃんと伝えるんだ"と。


「あのね、あたし、真琴の事、心配で…"アリス"の事をちゃんと伝えられなくて……ほんとにごめんなさい!」


真琴と向き合って、半ば叫んでいるようにも聞こえるような声でそれを告げると深々と頭を下げた。
若干真琴は呆然気味だったが、小さく笑みを浮かべる。


「リノは、悪くないよ」
「でも…っ」
「リノは、私を思って教えなかったんでしょう?なんとなく…だけど、分かったんだ」


リノは頭を上げる。
真琴の顔は決して怒っている訳ではなく、穏やかに、笑っていた。


「私はまだ、みんなと一緒に居たいと思うの……だから、一人死んじゃったけど…"誰も殺し合わなくて済むアリスの決め方"を、探そう?」



一人はもうリタイアしているのだが、これからの6人が誰も死なずに殺し合わずに、傷付く事なく"アリス"を決める事が出来れば良い。
真琴の中には、その思いでいっぱいだった。

その言葉に、堪えて居た涙が一気に溢れ出し、リノは泣き出す。
予想外の出来事に真琴は焦りを見せた。
リノは真琴に飛びつく。



「真琴…ありがとう、ありがとう…!あたしも、一緒に探すから…!」



嗚咽を漏らしながらそう言うリノの頭を
真琴はをそっと撫でた。





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