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「リノ!」
「真琴…!」


クレスより少し遅れて真琴が走って来る。
リノの姿を見るなり真琴は駆け寄るのだが、リノの表情は浮かない。
真琴はそれを気にする事なく、リノの隣に立つ。


「あの…、真琴…」
「今は前を…、二人を見よ?」



今は弁解しているどころではないとリノは感じ、視線を正面に向けた。

アレルは体制を立て直し、冗談交じりに笑う。


「もう少し早く来てくれれば良かったのに…」
「無茶言うなよ、まさかこんな所に居るなんて思わねえし」
「冗談だよ、冗談。ーーーー…ちょっと厄介な感じだけど大丈夫?」
「大凡は理解出来た…あのリングが原因だな?」
「うん、オーブがマナに信号を与えてリングの着用者のイメージに似た魔法を作り出すみたいだ…、今はまだ詳しくは分からないけど明らかに違法だね」


簡単にリングの説明をする。この数十分間の交戦の間に自分の目で見て理解した事だ。


「ま、とりあえず…全員連れてかなきゃなんねぇかな…」


サーベルにクレスは手を掛けると、次いでアレルもサーベルに手を掛ける。

一瞬、沈黙が生まれた。
地面を蹴る音を合図にして、再び交戦が始まる。


「二人になろうが怯むんじゃねェぞ!!」


恰幅の良い男は叫ぶ。リングを介してたくさんの風の塊が彼らに向かって放たれた。彼らはそれを防ごうとはせずに、中心に向かって走りこむ。自分を纏うように貼った結界が、風の塊を打ち消し、次々と気絶させていく。

気絶させた男達が目を覚まして逃げたりする事が無いように、結界を貼る。
5分もしない内に、主郭と思われる男以外は簡単に倒された。


「ーーーー!」
「もう、終わりだね」


尻餅を次いで後退りをする男の喉元に、アレルはサーベルの先を向ける。
漸く諦めたらしく、男は脱力した。

それから暫くして、クレスが呼んだ騎士団員が到着し、男達のリングは回収され、騎士団の城へと送る事になった。



「一つだけ答えろ」



送る準備をしている最中、クレスは呟くように聞いた。



「それは…、"リング"は何処で手に入れた」
「……」



男は黙秘を続けた。
待っても仕方ないと諦めた時に、小さな声で答える。



「"魔導師"…"魔導師"様に貰った」
「"魔導師"…!?」



これ以上の質問をする事は出来ず、僅かな謎を残して去って行った。







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