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城の中は想像していた以上の物だった。
騎士団の城が広いと感じるならば、それの恐らく2倍近くはあるだろう。
広く長い廊下にシャンデリア。ヨーロッパ風の家具や観葉植物が至る所においてあった。

数人の使用人が真琴達4人を出迎えると、比較的近いであろう部屋に案内される。そこは客室として使われているらしく、中は落ち着いた雰囲気がありながらも、やはり王家の城の為豪勢さは消えない。
中央におかれた高そうなソファに真琴とリノは腰を掛け、アレル、クレスは一旦その部屋を出て行った。


案内された部屋からそれなりに近い所に大きな両開きの扉がある。
その扉の前には警備にあたる二人の騎士が居た。
アレル達の姿を見るなり姿勢を改めて軽くお辞儀をする。


「やっぱり、何回か来てるけど入るのは緊張するね」
「まぁな…。王様に会う機会なんて早々無い事だけど」


扉を前にして小声で呟く。
ネクタイを改めて上に締め直すと、両脇に立っている二人の騎士に扉を開けるように頼む。
僅かに軋むような音を出しながら扉はゆっくりと開く。

中はより一層広く、白の大理石で統一され、中央には同じく大理石で出来た階段があり、その上に二つの玉座があった。

一つは王様、その隣のもう一つは妃が座っている。中央に敷かれたレッドカーペットは辺りが白で統一されている所為もあるが目立つ。そこをゆっくりと進み、階段から1m程離れた位置で片膝を着き跪く。


「…、よく来たね」

「騎士団所属、現聖騎士アルド=アレル」
「同じくクレス=ヴィルザルナ、現筆頭騎士ヴァレンスに変わり参りました」

「ははっ、そう堅苦しくならんで欲しい」


苦笑しながら言う。
彼は現王、ログファ=マーヴィン。恰幅の良い中々歳のいった人だ。王家一族ログファ家の当主である。全体的に優しそうな雰囲気を醸し出している。その隣に座る現王の妻、妃の地位にあたる美しい女性はログファ=エイミリー。彼女もまた、優しい笑みを浮かべていた。


「ヴァレンスが来ないのなら、君たち二人に頼もうかね…」

「何を、ですか…?」


片膝をついたまま、下げていた頭をアレルは上げる。次いでクレスも頭を上げ返答を待つ。





「私の娘、ミルの成人の儀についてだ」




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